堀江貴文の中に見出した“共通点”

一緒にいた村上の胸中を推し量ることはできなかったが、「バカだバカだ」と連呼する堀江に強烈な爽快感を感じたのである。何といっても堀江が言っていたことは、実は穐田自身が感じていたことそのままだった。

堀江は自分自身の成功よりも、世の中を変えることだけを考えていた。そして、日本社会の硬直化した現状を憎んでいた。世の中のシステムを革新することだけを穐田に話した。

だからといって、彼は瞳のなかに星が瞬くような青年ではなかった。「夢に向かって驀進ばくしんしている」とか「毎日、日記をつけて目標を管理している」といったような、わざとらしいことは言わない。不愛想に「世の中のシステムを変えないとみんな幸せにならない」と健全な意見を述べた。ただし、健全な意見をひとつ言うと、その後に、10倍の罵倒が控えていたけれど……。

堀江は「自分がしている仕事は幸福の追求だ。世の中のためになることが幸福だ」と最初から力説していた。

穐田は堀江貴文に初めて会った時から親近感を感じた。

そのころから説明がわかりやすかった

そして堀江が話す技術の話はわかりやすかった。東大の文学部にいた堀江は文学的な知性を持っている。難しい表現でなく、誰にでもわかる表現でネットとその技術について説明をした。その時、穐田は村上に「投資先としてオン・ザ・エッヂは面白いと思います」とはっきり言った。

穐田はその後も堀江と連絡を取り、上場(2000年)した後のライブドアに投資案件を持っていったこともあった。

ただ、堀江貴文がホリエモンという名前で有名人になり、テレビに出たり、選挙に出たり、事件で捕まったりもしたので、結局、一緒に仕事をしたことはない。それでも、穐田にとっては友だちだ。堀江もまた穐田に対する態度は他の経営者とは違う。兄事するという表現があるけれど、そんな様子だ。