コロナ禍の生活を経験したことで、家での過ごし方が多様化している。今回は趣味を楽しむための家づくりを、専門家と一緒に考えてみよう。

リモートワークが普及した今、人生における住まいの重要性は増すばかりだ。コロナ禍のステイホーム期間中「自宅でも趣味を楽しめたら」と考えた人は少なくないだろう。「趣味」は家づくりの大きなテーマの一つになった。

例えば、都心で家庭菜園やガーデニングを楽しむために、庭代わりのルーフテラスを設けたり、ビルトインガレージのインテリアにこだわって、愛車を手入れする時間を楽しんだり……。大切なコレクションアイテムを壁一面にディスプレーする例、家の中に小さなマシンジムやクライミングウォールをつくる例もある。

ここでは、趣味を楽しむための家づくりのポイントを考えてみたい。

空間の大きさや配置、音や空気環境などに工夫

限られた面積の中で、趣味のためにどのくらいの広さが割けるのか。専用の個室が必要でなければ、ロフトや階段の踊り場のようなセミオープンのスペースを活用する方法もある。リビングなどパブリックスペースの一角にコーナーをつくってもいい。家族と趣味を共有できるだろうし、将来的にも空間の使い道に融通が利く。ほかの用途と兼ねられるなら、それに越したことはないだろう。

音が大きい、臭いが出るなど、どうしても日常の生活空間と分ける必要がある場合は、間取りや隣家との兼ね合いにも注意したい。遮音・防音仕様にしておく、換気口の位置に注意するなど、家族や近隣に迷惑をかけない工夫が求められる。

楽器演奏やエクササイズといった体を動かす趣味の場合は、部屋の天井高や間口、奥行きにも注意しよう。たとえトレーニングマシンが部屋に収まったとしても、バーを大きく動かしたり、周囲を歩き回ったりする十分なゆとりがなければ使いにくい。さらに、重い機材を置く場合には、それに応じた床の強度が必要になる。

オンラインゲームや映画を楽しむシアタールームでは、映像や音響が重要なのは言うまでもない。遮光カーテンやスピーカー、吸音・防音材といった目に見える設備・仕様に加え、電気容量やコンセント・配線、通信回線も要チェック。新築で一からつくるなら、コード類が目障りにならず、機器の性能が最大限に発揮される配置を実現したいものだ。

趣味が高じるほど物が増えるのは、何もコレクターに限ったことではないだろう。趣味専用の部屋を設ける場合も、ほかの用途と兼ねる場合も、収納場所と容量は想定しておきたい。

家をつくるとき、自分の趣味について思いを巡らせるのは幸せなことだ。ただ、同居する家族にも配慮を忘れずに。ここまで列挙してきたように、趣味を存分に楽しむために注意したいポイントは意外と多いもの。快適な暮らしと趣味を両立させたいなら、早めに経験豊かなプロフェッショナルに相談するのがお勧めだ。