産業用ランドリーサービスで働く人々
写真=iStock.com/Hispanolistic
便利な「保管クリーニング」だが、業者によっては“放置”されていることもある。画像はイメージ

クリーニングに出した服を、そのまま店舗で一定期間預かってくれる「保管クリーニング」。近年、首都圏を中心に人気を集めており、「家に収納スペースがない」「次のシーズンまで服を管理するのは面倒」という人には、もってこいのサービスだ。しかし、業者によっては、服を預かってから半年間も洗たくせず、汗や皮脂がついたまま放置しているケースがあるようだ。保管クリーニング商品の洗たくを下請けした経験のある業者たちが、口々にその実態を明かした。

「7~8割の服に、フワフワと白や緑のカビが生えていました」

 そう振り返るのは、関東地方でクリーニング業を営むヤマダさん(仮名)。一昨年秋、業界大手の「宅配クリーニングのX」(仮名)から、保管クリーニング商品500~600点を洗たくしてほしいと依頼があった。しかし、店に届いた服を見ると、カビだらけ。預かり伝票を見ると、客からは半年前の春先に受け取ったものだった。

「汚れたまま、温度や湿度が管理されていない密閉状態で保管したことで、カビが広がったんだと思います」と、ヤマダさん。社員は「これ、大丈夫なんですかね?」と困惑していたが、結局カビをきれいに洗い落として、期日までに納品した。だがヤマダさんは、「職業倫理的に、お客さんから預かった商品をこんなふうに扱う会社とはもう関わりたくない」と話す。