幸運にもブライアントさんの場合、同じ業者と、Facebookのマーケットプレイスを通じて以前にも取引した経験があり、その点では安心して購入することができた。また、購入にあたり実際のクルマを見た際、同行した友人が「ホンダだったら僕なら不安はない」と背中を押してくれたという。

今ではすっかりブライアントさんの愛車だ。黄色のラッピングを施して、蜂蜜をたっぷりとたたえた蜂の巣の模様をあしらった。ブライアントさんは5万匹以上のミツバチを飼育しており、巣箱は18個存在する。荷台に積み込んでどこへでも持っていけるアクティは、彼女の日々の作業の強い味方となった。

「世界で最も実用的なクルマ」と絶賛

SNS上では、日本の軽トラックの利便性を紹介する動画が数多く投稿されている。イギリスのデイリー・メール紙はこうした動画の中で軽トラが「世界で最も実用的なクルマ」と称賛されていると指摘する。

軽トラの強みは、その値段と実用性だ。デイリー・メールは、安くてコンパクトなクルマを求める人々の間で人気を博していると分析している。アメリカから好んで輸入される軽トラは、AWD(全輪駆動)のものが多い。通常の乗用車よりも悪路走破性に優れ、大型の資材の運搬にも適している。

米オート・ブログによると、燃費のよさも評価が高い。養蜂家のブライアントさんの場合、燃費は50mpg(約21km/L)と良好だ。乗り方にもよるが彼女の場合、3月から6月までの間にわずか2回しか給油していない。

手ごろな車両価格も魅力だ。インサイダーによれば、ある輸入業者を通じて日本から輸入する場合の価格は、計約5000ドル(約73万円)からとなっている。この業者は「過去7年間で当社の売り上げは毎年伸びており、その大部分が軽自動車によるものです」と明らかにしている。牧場や農場の経営者からの需要が高い一方で、サーフボードを運びたいサーファーや獲物を運びたいハンターなど、個人ユースでも注目を集めているという。

軽トラック
写真=iStock.com/Razvan
※写真はイメージです

人気を支えるアメリカの“25年ルール”

輸入車に関する規制は州ごとに異なるが、少なくとも25年以上前に製造された車両であれば、アメリカの安全・環境基準の適用が免除され、輸入することができる(アメリカ運輸省)。いわゆる「25年ルール」だ。

『エコノミスト』誌によれば、この免除ルールは元々、ヴィンテージカーを対象とした特別措置であった。しかし、この制度を活用することで、1990年代に造られた日本の軽トラックがアメリカでも輸入できるようになった。

便利さが評価される一方で、軽トラックにも弱点がある。養蜂家のブライアントさんは身長160センチ程度だが、それでも運転席を窮屈に感じることがあると語っている。