女性の「男性化」が見られる項目

続いて、過去にはある程度、女性と男性の数字に乖離かいりが見られたものが、年を追うごとに、女性の数値が男性に寄ってきたものとして、「趣味」と「容姿」の2項目が挙げられます。この背景を推測するに、従来女性は、専業主婦やパートでの家計補助というライフスタイルを取る比率が高かったため、男性よりも自由な時間が長く、そこで、「趣味」への要望度合いが高かったのではないでしょうか。それが、総合職女性の増加により、男並みに近づいたというところでしょう。

【図表】趣味
※「出生動向基本調査」を基に筆者作成
【図表】容姿
※「出生動向基本調査」を基に筆者作成

「容姿」への要望度合いが男性並になった点も、女性の収入や地位の向上が裏にありそうです。

19世紀、トルストイやエレン・ケイの時代であれば、生活力がない女性は、資金力のある男性に嫁ぐのが良しと普通に謳われていました。そこには相手に容姿容貌を求める余裕などはなかったでしょう。

それが、収入も地位も向上するとともに、無理に好みでもない男性と結婚しなくても、一人で生きていけるようになりました。そこで、容姿容貌への要望も強くなったと考えられそうです。

男性の女性化が見られる項目

従来の「男は働き、女は家を守る」型の性別役割分担社会であれば、当然、女性は男性の経済力や職業を重視しました。それが、女性の社会進出とともに、男性も女性の経済力や職業を重視する割合が増えてきています。とはいえ、この2項目については、男女間にいまだ大きな差がみられる項目です。

【図表】経済力
※「出生動向基本調査」を基に筆者作成
【図表】職業
※「出生動向基本調査」を基に筆者作成