商品やサービスをバズらせるSNSの主役はZ世代

Z世代は、「SNSネイティブ」だといわれます。TwitterやInstagramといったSNSが生まれたときから普及していて、コミュニケーションや情報収集のために使うことが当たり前の環境で育っています。

こうした感覚の違いは、上の世代の方も感じることが多いと思います。「欠勤の連絡をLINEでするのはどうなのか」「いつもSNSばかり見ていて世の中の情報をキャッチできているのか」。

本書でどちらが正しいかは考えませんが、少なくともZ世代にとっては当然の意識です。大多数が上司への連絡にLINEを使わないのは、それが上の世代のルールだと知っているからです。

マーケティングにおいて、SNSの持つ意味はその「拡散力」です。

SNSの普及により、誰でも手の平の上から世界中に向けて情報発信をすることができるようになりました。そうして、一般人の投稿でも大きく拡散されるようになっています。

いわゆる「バズ」です。消費行動としても、「SNSでバズったものを見て買う」ということが一般的になっています。

自社の商品やサービスをバズらせることができれば、何万人、何十万人、何百万人に知ってもらうことができる。これほど効果的なマーケティングはありません。こうした理由から、SNS上での拡散が非常に重要視されています。

そして、SNSの主役はZ世代です。もちろん、上の世代の方もSNSを使いますが、情報発信という意味ではZ世代が中心です。

SNSユーザーの割合として若年層が多いということもありますが、次にお話しするように、Z世代は上の世代に比べてSNSを通してやり取りする相手とその回数が圧倒的に多いといえます。

Z世代を中心として発信される情報が、知人やフォロワーに伝わっていく。もちろん、Z世代や彼らがシェアした相手の繋がりは同年代だけではなく、世代を超えて広がっていきます。

つまり、Z世代に訴求することで、全世代に向けてSNSを通した拡散が起きる。これがZ世代を狙うべき最大の理由になります。

【図表】拡散はZ世代から始まる
出典=『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)

短期的に見れば狭くても、今後確実に伸びていく市場

Z世代に注目すべき2つ目の理由は、市場成長の可能性です。

この点で勘違いされやすいのが、「Z世代」=「若者」という考え方です。もちろん現時点で間違っていませんが、Z世代は「年齢」ではなく、「世代」を指す用語です。いまは若くても、当然、30年後には30歳年を取っています。

現時点で日本のZ世代の市場規模が小さいのは事実ですが、いまは学生や若い社会人であっても、いずれお金を持つようになります。短期的に見れば狭くても、今後確実に伸びていくことがわかっている市場です。

それに、若いということは、今後消費者である期間がそれだけ長いということでもあります。いわゆる「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」が高いわけです。企業やブランド側としては、若いときからアプローチすることで、生涯を通してお客さんになってもらうことができます。

どんなビジネスでも、伸びている市場に資本投下することが最も確実な成長戦略です。今後消費の中心となる世代に対して早期にアプローチすることで、将来の結果に直結します。こうした市場はほかにはありません。

将来性という視点では、Z世代のさらに下の世代である、「α世代」も同様です。マーケティングの世界では、もちろんα世代も重要視されています。

ただ、2023年の時点で、この世代は小学生までです。消費行動を分析できるほどの情報はありません。20年後には同じように「これからはZ世代じゃなくてα世代だ」といわれているでしょう。

【図表】いまは若いZ世代もお金を持つようになる
出典=『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)