医療保険と生命保険の見直し

夫婦がそれぞれ加入していた医療保険と生命保険の掛け金も大きく見直すことにした。まず医療保険と生命保険をこれまでの掛け金が損にならない形で、貯蓄型のものは残して、ほかを大幅に減額した。

妻がこれほどの大病をしても、高額療養費制度に守られて、年齢や所得に応じて決められた自己負担限度額を超えた分は、まるっと払い戻していただけた。日本にはこの制度がある限り、「社会保険に加入している人は無理して医療保険などに入る必要はない」と断言するファイナンシャルプランナーもいる。

もしこの制度がなければ、妻と息子の入院費だけで国産車2台分ぐらいの出費となり、明日の生活もままならない状況になっていただろう。だから、「日本死ね」とはまったく思わない。「日本もっとがんばれ」とは思うが。

学資保険に入れない

中本裕己『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました 生死をさまよった出産とシニア子育て奮闘記』(ワニ・プラス)
中本裕己『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました 生死をさまよった出産とシニア子育て奮闘記』(ワニ・プラス)

そんなわけで、医療保険を減らした分は、息子の学資保険に回したかった。ところが、56歳と45歳の夫婦が、これから息子が成長して大学に入学し卒業する22歳までに、ある程度の学資を貯めるというシミュレーションが保険会社にはない。だいたい、保険加入者は20代、30代の夫婦を想定していて、「はじめは苦労するかもしれないが、だんだん収入も増えるはずで、取りっぱぐれはない」という青写真を保険会社が描いて当然だろう。

相談に乗ってもらったファイナンシャルプランナーは、そうした事情をかいくぐって、できるだけ加入条件がゆるくてリスクの少ない、外貨型の投資で学資保険に相当する分を積み立てるプランを出してきた。もう、それに乗るしかない。加えて、この先10年は、我が身に異変があると生活に支障が出るので、短期の掛け捨て生命保険にも入っている。

とうちゃん、働けるところまで働くよ。でも、どこかで、とうちゃんが稼げなくなったら、息子よ、あとは自分で働いてなんとかしてくれ、スマン! そんな心境なのであった。

中本 裕己(なかもと・ひろみ)
産経新聞社 夕刊フジ編集長

1963年、東京生まれ。関西大学社会学部卒。日本レコード大賞審査委員。浅草芸能大賞専門審査委員。産経新聞社に入社以来、「夕刊フジ」一筋で、関西総局、芸能デスク、編集局次長などを経て現職。広く薄く、さまざまな分野の取材・編集を担当。芸能担当が長く、連載担当を通じて、芸能リポーターの梨元勝さん、武藤まき子さん、音楽プロデューサー・酒井政利さんらの薫陶を受ける。健康・医療を特集した新聞、健康新聞「健活手帖」の編集長も兼ねる。48歳で再婚し、56歳で初めて父親になる。