仕事の成果物が優れていたら「さすが」とほめる

次に考えたい「大人の副詞」は、相手をほめる「さすが」です。「さすが」は、期待通りの結果を評価する副詞です。もともと高い期待を抱いていたことにたいし、その期待を裏切らない結果を目の当たりにしたときに「あらためてすごい」と感心するときに使います。

すばらしいデザインです。さすが、山田さん一押しのデザイナーさんですね。

デザイナーさんを見抜く相手のセンスを高く評価したことになりますので、言われた相手はきっと喜ぶでしょう。

握手をするビジネスパーソン
写真=iStock.com/mapo
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ただ、「さすが」の使用には二つの注意点があります。一つは、「さすが」がお世辞と受け取られるおそれがあることです。心から感心したときに言わないと、逆効果になります。もう一つは、「さすがに」と「に」をつけてしまうと、期待外れの意味になりがちです。「さすがに」という形でも期待通りの意味になることもありますが、「そこまで行くと難しい」という期待外れのマイナス評価になりやすいので注意が必要です。

奇襲戦法は一度は成功しても、さすがに二度目は通用するとは考えにくい。

不都合な内容には「あいにく」をつけて切り出す

相手にとって都合の悪い内容は言いにくいもので、そのまま言うと反発を招きがちです。大事なのは、不都合な内容を切り出すときに「残念だ」という相手に寄り添う気持ちの言葉を加えることです。そうした配慮を表す「大人の副詞」に「あいにく」があります。

あいにく禁煙のお部屋はすべて埋まっております。喫煙可のお部屋でもよろしいでしょうか。

「あいにく」に似た言葉に、「運悪く」「不幸にも」「気の毒なことに」「残念ながら」などがあります。しかし、「運悪く」「不幸にも」だと他人事のように響きますし、「気の毒なことに」「残念ながら」だと上から目線の同情のように映ります。「あいにく」がもっとも安全な表現です。