収入をコントロールできると思う勘違い

これはサラリーマンに限りませんが、一般的に多くの人は収入を増やすことばかりに熱心になる傾向があります。出世街道をひた走るエリートサラリーマンも同様で、仕事で成果をあげて何とか高い地位に就き、権力も収入も増やしたいと思うのは当然です。結果として前述のような支出が増えることになるのです。

大江英樹『50歳からやってはいけないお金のこと』(PHPビジネス新書)
大江英樹『50歳からやってはいけないお金のこと』(PHPビジネス新書)

でも、多くの人が誤解しているのですが、収入をコントロールすることはほぼ不可能です。自営業やフリーランスであれば収入が不安定ですから当然ですが、収入が安定していると思われるサラリーマンでも収入のコントロールは不可能です。なぜなら昇給や昇格は自分が決めるのではなく、上司や人事部が決めるからです。ところが多くの人が、努力すれば収入をコントロールできると勘違いしています。だからこそ、無理をしてストレスを生じさせることになってしまうのです。でもしょせん、それは無理だと思った方がいいのです。

では、コントロールできるものは何かと言えば、支出です。

どうすれば支出をコントロールすることができるのでしょう。

これは、結論から言えば、“見える化”することに尽きると思います。さらに言えば、漠然とした老後の不安も“見える化”することでかなりの部分は解決すると思った方がいいでしょう。これについては『50歳からやってはいけないお金のこと』で詳しく解説しています。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。