社内的地位が高い人ほどお金が貯まっていない

多くの企業では、人事部門が主催して、毎年「セカンドライフセミナー」といったようなタイトルで50代の社員たちに対する定年後の準備に向けたセミナーがおこなわれています。私も年間十数回は、そういうセミナーで講師を務めています。

そんなセミナーで面白いのは、参加者がグループに分かれて自分たちで定年後の生活に向けて意見を交換するというセッションです。私も自分の講演が終わった後は、そういうグループセッションに参加させてもらい、みなさんのお話を聞かせてもらうようにしています。

この場合、大体立場の似た人が同じグループにまとめられることが多いです。同じ年次でも部長、課長、無役社員と職位に差があるためで、同じ程度のクラスでないと話が弾まないだろうという配慮から、そうすることが多いようです。

そこで気がついたことは、社内的な地位の高い人ほど実は資産があまり多くなく、逆に、立場は無役でもしっかりと資産形成をしている人が多いということです。

コインスタックに立っているミニチュア
写真=iStock.com/Thanmano
※写真はイメージです

これは意外です。本来であれば職位の高い人ほど給料も多いはずなのに、実際は必ずしも地位と資産がパラレルにはなっていない。一体どうしてなのか、考えてみました。

答えは前述したことと同様で、収入に比べて支出が多いからです。でも、そうなってしまう理由はそれほど単純ではないようです。

支出が多くなる元凶

支出には固定費と変動費がありますが、昨今、固定費の見直し、具体的に言えば保険の見直しや無駄な会費の支払いといった項目については改善すべきだという考え方が浸透しつつあります。事実、色んな数字を見る限り、着実に改善されつつあるようです。

ところが変動費については、まさに人によってさまざまなので一概には言えません。一般的にサラリーマンで変動費の支出が多い人の特徴は何かと言うと、どうやら付き合いや飲食による支出が多いようです。

社内的に高い地位にいる立場の人は、部下も多いし、外部との交流機会も多いわけです。結果として飲食の機会が増えるのが普通です。無論、そのために交際費というものがあるわけですが、それにも限度があります。付き合いの機会が多い人にとっては、やはり自分のお金を使う頻度も高くなることでしょう。

さらに、地位の高い低いとは関係なく、外での飲食が好きな人であれば、飲んだり食べたりすることでストレスが解消されるでしょうから、そういう機会が多くなります。

結局、支出が多くなる元凶は、仕事に対する熱心さがもたらす付き合いの多さと、ストレス解消のために増える飲食機会ということになるのでしょう。