聖域なきコスト削減で合併効果を出す

――NKSJホールディングスは傘下の損保ジャパンと日本興亜損保を2014年度上期に合併することを決めた。なぜ当初の2社による「1プラットフォーム、2ブランド」を転換したのか。
NKSJホールディングス社長
櫻田謙悟

1956年、東京都生まれ。都立石神井高校、早稲田大学商学部卒。78年安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)入社。2000年統合企画部長、05年執行役員金融法人部長、07年取締役を経て、10年社長就任。12年持ち株会社・NKSJホールディングスの社長に就任。

櫻田 2008年のリーマン・ショック、その後の東日本大震災、また、ギリシャの債務不履行問題に端を発した欧州金融危機など、目まぐるしく経営を取り巻く環境は変わった。11年11月には、タイの洪水被害による保険金の支払い、法人減税による繰り延べ税金資産の取り崩しなど、危機感が非常に高まり、今までの体制から一歩踏み込もうという機運になった。共同本社という形もありえたが、その先を考えざるをえず、このままでは、前に進めないと判断した。統合から2年、結果的に2社の合併を決断したが、ステークホルダーの理解を得るために必要な時間だったのではないかと思う。

――今回の合併では、新会社の名前を「損害保険ジャパン日本興亜」とし、社長にはニ宮雅也・日本興亜損保社長が就任予定だが、日本興亜に配慮したのか。

櫻田 2社が合併するわけだから、両社の価値が毀損するということがあってはならない。私がホールディングスの社長に就任し、グループ代表を務める。二宮さんも事業会社の社長をしっかり担ってもらう。これは戦略的にも正しい判断だと思う。

また「損保ジャパン」という会社名は、認知度が97%もあり、日本興亜損保にしても、90%以上の認知度がある。「NKSJ損保」になったら、認知度は3%程度しかない。ならば、新しい社名にするよりも、認知度の高い社名をつけることのほうがメリットはあると判断した。