投資先はこれ1本でいい

では、新しいNISAの、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)で、具体的に、何に投資したらいいのでしょうか。

惜しまずに結論からお伝えすると、「どちらにも同じものに投資することが正しく、広く分散投資されていて、手数料が安い商品がいい」。具体的には、全世界の株式(できれば日本株を含む全世界株式)に投資するインデックス投信で手数料の安いもの一本でいい、というのが答えです。

投資対象が制限されたつみたて投資枠よりも、広い範囲から投資対象を選べる成長投資枠では「もっといい投資ができるのではないか」というイメージを持つ方が少なからずいるかもしれませんが、それは不可能なのだと考えてください。

この問題については、NISA制度の過去の経緯が参考になります。2018年に、なぜつみたてNISAが登場したか、その理由が重要です。

NISAは、2014年に年間投資額100万円(後に120万円)、非課税運用期間5年として、最初の制度が登場しました。この制度では、5年経った運用資産を次の期間のNISA口座に移すロールオーバーと名付けられた手続きがあって、金融庁はこの制度を長く使うつもりだったはずです。実際、当初の思惑通りであれば、投資可能金額の枠を広げたり非課税期間を延ばしたりすると、国民の資産形成を後押しする制度として十分機能したはずです。

金融機関に対する金融庁の怒り

ところが、制度がスタートしてみると、少なからぬ金融機関が、NISA口座で集めた資金を、長期投資に向かない毎月分配型の投資信託(複利効果が損なわれるし、商品の手数料が高すぎる)に投資させたり、果ては投信の乗換勧誘に走るなど、NISAを手数料稼ぎの道具に使う営業が目に余るようになりました。

この件に対する金融庁の「怒り」(!)はすさまじく、積立投資と20年にわたる長期投資に加えて、金融庁自身が適格商品を選別し、利用者が「まともな運用」(長期・分散・低コストの3原則に合致する運用です)をせざるを得なくなる、つみたてNISAを2018年に投入することになりました。

金融庁が運用商品を選別することに対しては金融業界から強い反発がありましたが、強行突破して制度をスタートした結果、インデックス運用の普及、インデックス投信の手数料引き下げ競争などの好ましい効果があり、つみたてNISAは特に20代、30代の若い人から大きな支持を得る制度に育ちました。