そもそも「結婚したい人が9割」は本当か?

最初に、未婚者の結婚意欲についてですが、「一生結婚しない」という未婚者が男性17.3%、女性14.6%で過去最高となったことがすでにニュースなどでも取り上げられています。しかし、それほど大騒ぎすることでしょうか? 2020年で生涯未婚率は男性28.3%、女性17.8%となっているのですから、そんなもんだろうとしか思いません。

この部分はかつて「結婚したい人が9割」とマスコミが喧伝していた部分で、9割を割っても「それでも8割以上が結婚したがっている」と言い続けている人もいます。どうしても「結婚したい」を多数派としたいのでしょうか。が、その論法はデマではないが正しくありません。そもそもこの質問は、「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚しない」かの二択です。どちらかを選べと言われれば、よほど結婚しないという強力な意志のある人以外は前者を選択するでしょう。

実際、調査では「結婚するつもり」と回答した人に対して次の質問で「ある程度の年齢までに結婚したい」か「理想の相手が見つからなければ結婚しなくてもいい」かを聞いていますが、その割合は40年前から大体半々で推移しています。要するに、結婚に前のめりな層というのは、いつの時代も男女ともにせいぜい5割程度に過ぎないというのが正確なところです。

結婚指輪の交換の瞬間
写真=iStock.com/Nadtochiy
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「恋人ナシ、恋愛願望もない」割合は10年で増えたが…

逆に、元々結婚に後ろ向きな層も皆婚時代から半分くらいずっと存在していたわけで、「一生結婚しない」の割合が増えたといっても、それは元々の後ろ向き層の濃淡の話にすぎず、ことさら大騒ぎする問題でもありません。

しかし、こういうことを言うと「一生結婚しないという割合が増えていることはすなわち若者の結婚離れという事実であり、由々しき問題ではないか」と反論されます。同じく出生動向基本調査において2010年から「交際相手をもたない未婚者の割合と交際の希望」についても調査していますが、それによれば、2021年段階で「現在恋人はいないが別に恋愛したいとは思わない」という割合が、30~34歳で男性40.7%、女性35.8%にも達しています。2010年段階では、男性27.0%、女性21.3%でしたから、男女とも大きく増えています。

こうしたデータを基に「ほら、やっぱり未婚者の恋愛意欲は減っているし、草食化だ。恋愛の不活性化だ」というわけですが、果たして本当でしょうか?