「砂の堆積」が国土を広げた

2018年2月の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された研究論文によると、この40年ぐらいの間に、ツバルの国土面積は拡大していたのである。

これは、ニュージーランドのオークランド大学の研究チームが航空写真や衛星写真を使用し、ツバルの9つの環礁と101の岩礁について、長期間の地形の変化を分析した結果である。

色鮮やかなサンゴ礁の上の赤い海のマルサアラム
写真=iStock.com/cinoby
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1971年から2014年までの分析によると、少なくとも8つの環礁と、約4分の3の岩礁で面積が広くなっており、同国の総面積は73.5ヘクタールも拡大していたという。

ツバルの面積は約26平方キロメートルしかないから、国土の2.9%が増加したことになる。

さらに首都のあるフナフティ環礁(33の島がある)では、115年前から32ヘクタールも拡大していたことがわかった。

この100年間で起きた海面上昇は平均約17センチとされている。それなのに、なぜツバルの面積は増えたのか。まさか島が隆起したのだろうか?

違う。増えた理由は、波によって運ばれた砂が堆積して、浜が広がったためだ。

もともとツバルの国土は、サンゴ礁の上に砂(これも珊瑚礁が砕けたものや有孔虫の殻が多い)が積もってできている。

そこに砂が吹き寄せられ、その上サンゴ礁が成長すれば、国土は広がるわけである。

海流の強さや流れの変化で、吹き寄せられる砂の量は毎年変わる。ツバルでは増える方に作用したのだろう。