2012年2月24日(金)

「もたもた」「グズグズ」脳は訓練で変えられるか

茂木 健一郎:世界一の発想法

PRESIDENT 2012年1月30日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

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茂木健一郎 写真=PIXTA
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ネットの文明が成熟する中、次第に明らかになってきていることがある。それは、人々の「可処分時間」がますます貴重なものになってきているということ。

テレビやゲーム、そして携帯やインターネット。さまざまなモノやサービスが、人々の限られた一日をめぐって、「覇権争い」をしている。そんな中で、優勝劣敗が決まっていく。経済構造が変わる。

消費する側だけではない。生み出す側、働くサイドも同じこと。時間をうまく使いこなすことは、ビジネスや人生がうまくいくうえで一番大切なポイントの一つ。時間は、現代においてもっとも希少な資源となっているのである。

ところが、時間活用がなかなかうまくいかない。時間はすべての人に平等に与えられているはず。しかし、それを使いこなす能力や技術は平等ではない。誰にでも時間術の達人になる資質はあるのに、その可能性に気付いていないことも多いのだ。

一番大切なのは、「生きた時間」の使い方をすること。ただ単に、忙しがっていたりとか、効率を上げたりすればいいわけではない。人間だって生きものなのだから、時間を使うにも、メリハリのようなものがあるのだ。

オンとオフを切り替える脳の領域は、前頭葉にある。自分の置かれた文脈を察知し、脳の活動を調整する「眼窩前頭皮質」。そして、目前の課題をこなすために脳のさまざまな回路に指令を出す「背外側前頭前皮質」。これらの領域をうまく使いこなすことで、時間術の達人になることができるのである。

商品やサービスを消費する側としても、つくって送り出す側としても、大切なのは切り替えの素早さとその後の集中。ぱっと切り替えて、新しい課題に取り組む。その素早さこそが、時代に求められているのである。

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