世界で水不足が進行している。地球上に水は大量にあるが、資源として利用できるのはそのうちのわずか0.8%にすぎない。フリーランスで国際協力に携わる原貫太氏は「畜産業では大量の水を使う。肉食生活を送る人が増え続ければ、水資源の奪い合いが起きかねない」という――。

※本稿は、原貫太『あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

干ばつ
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少量の肉を生産するためには大量の水資源が必要

「実は今、世界で水不足の問題が深刻化している」

そう聞かされても、山や川に恵まれ、雨がたくさん降る日本で暮らしていると、あまり実感が湧かない人が多いかもしれません。日本ではよく「水と安全はタダ」と言われてきましたし、蛇口をひねればいつでもきれいな水を手に入れることができます。

しかし、「畜産業は大量の水を消費することで成り立っている」という視点に立ってみると、水不足の問題が日本にも無関係ではないことが理解できるはずです。

少量の肉を生産するためには、大量の飼料穀物を家畜に食べさせなければなりません。そして、その飼料穀物を生産するためには、大量の水資源が必要になります。