薪ストーブが売れている。それも、寒冷地だけではなく、九州、四国、東京郊外など温暖地でも。日本暖炉ストーブ協会理事長、中馬大介氏によれば、オフシーズンである4~8月の今年の販売数は昨年同期の2割増。

最近の薪ストーブはコンパクトでモダンなデザインが主流。北欧やアメリカ製が人気だ。写真はゆらゆら揺れる炎がよく観賞できる縦長の大きな窓が印象的な北欧製。しかも、360度回転する。
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最近の薪ストーブはコンパクトでモダンなデザインが主流。北欧やアメリカ製が人気だ。写真はゆらゆら揺れる炎がよく観賞できる縦長の大きな窓が印象的な北欧製。しかも、360度回転する。

「11~12月の売上高は例年、4~5月の3倍」(同氏)だけに節電の冬を追い風にどれだけ数字を伸ばせるか注目だ。

価格は数年前より下がったものの、本体と煙突設置費で80万~100万円。その後も、薪代・メンテナンス代などで意外とコストがかかる。石油ストーブのほうがずっとリーズナブルである。

それでも大枚をはたく最大の理由は、やはり「電気に頼らない生活」であり、「温暖化防止のために」である。また、被災した東北の木材を回収し加工された薪を購入して「復興に貢献したい」という人も少なくないようだ。

しかし、薪ストーブのトレンドはそんな表向きの理由だけではない。「オーロラの炎は、何時間見ていても飽きない」といった男性の薪ストーブユーザーが多数いる、と同氏は語るのだ。オーロラとは、ゆらゆらした炎の先端が時々刻々と変える色合い。しかも最近の商品は、炎を観賞できるように縦長の窓になっていることが多い。同氏は薪ストーブの醍醐味をこう語る。

「まるで自宅内で焚き火するような至福の時間です。ユーザーは、ひとりで炎と対話したり、家族とくつろいだり。そのためなら、会社帰りの飲み会をやめ、クルマの買い替えも取りやめるなんて朝飯前という人が多いです」

とはいえ、夫の極私的な火遊び装置の購入を、妻が簡単に了解しない……はずが、薪ストーブ内は400~500度の高温ゆえ、ガスコンロではマネできない豪華なオーブン料理が作れると知らされるや一転、たちまちOKサインが出るそうな。薪ストーブ流行がさらなる家庭回帰の呼び水となるか。