液体でもなく固体でもない「ジュレ」、すなわちゼリー状のぽん酢が人気だ。

ヤマサ醤油の「昆布ぽん酢ジュレ」。見た目に注力しただけあって、美しさが秀逸。冷奴がご馳走に。

ヤマサ醤油の「昆布ぽん酢ジュレ」。見た目に注力しただけあって、美しさが秀逸。冷奴がご馳走に。

震災で一時出荷が止まっていたものの、8月から再開したハウス食品の「のっけてジュレ」。2月に販売された「ぽん酢」に、「柚子こしょうぽん酢」を追加し、ひと月で2億円を売り上げた。出荷停止期間があるにもかかわらず、2月からの1年間で10億円の売り上げになる見込みとのこと、これは当初予想の1.5~2倍。そもそも自社商品にぽん酢のない同社が、この商品を誕生させた理由とは。「汎用性の高い調味料としてぽん酢に注目したところ、調査の結果、鍋に使うのは2割と判明。サラダなどに使うには、味が強い、絡まりが悪いなどの不満点があることもわかり、それを解決するにはジュレの形状がいいのではと」(広報)。

しかし、この形状での商品化はそう簡単ではなさそうだ。同じく2月に「昆布ぽん酢ジュレ」を発売したヤマサ醤油マーケティング部商品開発室の嶋田隆さんからはこんな話が。「かなり前からジュレ状の調味料には注目していたんです。日本料理店のゼリー寄せに可能性を感じていたし、海外でもジュレ状の料理は多い。ただ、その場で作って食べる料理店と違い、この形状を常温で流通・保存させることが難しく、開発に2年ほどかかりました」。

8月には新たにミツカンの「ぽんジュレ 香りゆず」が市場に。同月は計画の3倍以上の出荷と好調で、人気の理由を「内食化の流れもあり、家庭で変わった料理や凝った料理を作りたいときに便利なのではないか」(ミツカンメディアプロモーション課 百瀬友美さん)とみている。ぽん酢がこれだけヒットしているのだから、ジュレ状しょう油、ソース、ケチャップ……、他の調味料にも派生することは間違いないと予想するのだが、どうだろう。