イヤな相手と距離を取れない場合は…

相手と距離を取りたくても、現実的に難しい場合もあるでしょう。

「わかっているのにできない」という意味では、関係性が深くない場合よりも悩みが深いですね。

光澤裕顕『生きるのがつらいときに読む ブッダの言葉』(SBクリエイティブ)
光澤裕顕『生きるのがつらいときに読む ブッダの言葉』(SBクリエイティブ)

職場の人間関係であれば、イヤな先輩と完全に離れるには仕事を辞めるしかありません。でも、そんなことは簡単にできないので、ひたすら我慢し続けることになります。

ブッダの言葉がいかに核心をついていても、私たちの社会では最低限の人づきあいが欠かせません。これもまた、現代を生きる私たちの真理です。

では、どうしたらいいのでしょうか。

この場合は、せめて悪い行為や卑しい行為が生まれそうな場に近づかないことでしょう。イヤな相手と距離を取るのではなく、その人の悪い・卑しいアクションから距離を取るという作戦です。

「悪い言葉」はできる限り避ける

とくに「悪い言葉」は意識的に避けるべきです。

たとえば、人の悪口で盛り上がるような飲み会は避ける、雑談の中で人の悪口が出たら同調しない(自分自身が「悪い言葉」を使わないようにする)といった対策が挙げられるでしょう。

善いことばを口に出せ。悪いことばを口に出すな。善いことばを口に出した方が良い。悪いことばを口に出すと、悩みをもたらす。
『ウダーナヴァルガ』第8章8

「悪い言葉を口に出すな」なんて、そんなに大事なことなのかと疑問に思うかもしれません。でも、自分の発した言葉に自分自身が影響を受ける例は、身近にあります。

たとえば、パソコンの検索履歴やメッセージの予測変換に汚い言葉が残っていて、ドキッとしたことはありませんか?

データ上で履歴が残っているように、その言葉を使った記録が私たちの心の中にも残っているのです。たとえそれが本心でなくとも、口に出た言葉は行動につながり、行動は結果に結びつきます。

たかが言葉と侮ることなかれ、なのです。