どんな人が良きライバルにふさわしいのか。世界各国の男子トップゴルファーが集うPGAツアーを分析した慶應義塾大学環境情報学部3年の松井光起さんは「ライバルに能力で差をつけられている場合は逆効果になる。切磋琢磨すべき相手は自分より優れている人ではない」という——。
友人とゴルフ
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「正のピア効果」を得る条件

「生産性」という言葉をよく聞くようになった。短い時間で最大限のパフォーマンスを残すことは、ビジネスシーンだけでなく、私たち学生も受験や試験の勉強、就職活動などの場面で意識せざるを得ないまでになった。

しかし、これは個人だけではどうにもならないことがある。なぜなら、個人のパフォーマンスは周囲の人(あるいは環境)に強く影響されてしまうからだ。

例えば同僚やチームメイトの1人のモチベーションが極端に低く、その影響が組織全体に蔓延して生産性が低下したり、一緒に仕事をした人が自分よりもはるかに仕事ができるため、自分自身のペースを失ってしまったりする負の現象がある。

もちろん正の影響も考えられる。仕事が“できる人”と一緒に仕事をすると、自分のモチベーションが上がり、仕事がはかどるような感覚を覚えることがある。学生であれば、身近な友達が勉強を頑張っている姿を見て、相乗効果で自分までテストでいい成績を取れた、という現象だ。

これは経済学の世界で“ピア効果”と呼ぶ。慶應義塾大学の中室牧子教授によると、広義に「ある個人が周囲の人々から受ける影響」のことを指す。特に経済学においては「他の経済主体から受ける外部性」と定義されている。

簡単に言うと、周囲の頑張っている人に自分が引き上げられたり、怠惰な人に足を引っ張られたりする傾向のことだ。