いい社長とダメな社長を分けるものは何なのか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「成功している社長はマメで、よく気づき、よく動く。一方、会社をつぶす社長は3つのタイプに分けられる」という——。

※本稿は、小宮一慶『できる社長は、「これ」しかやらない 伸びる会社をつくる「リーダーの条件」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

グローブをつけてファイティングポーズをとる日本人シニア男性
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会社を潰す代表格は社長室にずっといる、「穴熊社長」

決めること、考えることが社長の仕事だからといって、社長室に閉じこもってばかりいたのではダメです。経営のヒントは、社長室にはありません。外にあるのです。

まずは、何よりも、お客さまを訪ねたり、現場を見たりして、いまどんなことが求められ、何が問題かを知ろうとする。あるいは、新しくできたものを見に行ったり、体験したりして、世の中の変化を実感する。

さらには、有益な知識や情報を持っている人に会い、話を聞く。優れた知見を持つ専門家の意見を聞く。経営者仲間と定期的に会って情報交換をするなどして、知識や情報のブラッシュアップを図る。そのなかで、正しい判断をするうえでの気づきや発見が得られるのです。

私もシアトルに行ったとき、「レジレス・コンビニ」と言われるAmazon Go(アマゾン・ゴー)ができたと聞いて、立ち寄ってみたことがありました。スマホでアプリを入手した後、店内に入り、商品を手に取り、それを持ってゲートを出てくるだけで買い物ができる。来店者と商品をカメラとセンサーが認識し、その人のAmazonアカウントから自動でクレジット決済されるというシステムです。

当時はまだ精度の面で少々難ありでしたが、「こういうものなのか」といちはやく実体験できたのはまさに「百聞は一見に如かず」で面白かったです。同行していた経営者の方も、興味津々で買い物をしていました。このように、知っているのと体験するのとでは、得られるものが大違いです。

1万社以上の企業を指導したとされる1万社以上の企業を指導した経営コンサルタントの一倉定(いちくら・さだむ、1918‐1999)先生は、「穴熊社長は会社をつぶす」と言われていました。穴熊のように、社長室にこもってばかりいる経営者への訓戒です。外に出て、現場、お客さま、社会をよく見て、知っていなければ、正しい判断をすることはできないのです。