東京・目黒のミシュラン一つ星イタリアン「ラッセ」のオーナーシェフ・村山太一氏は、2017年からサイゼリヤ五反田西口店でアルバイトをしている。村山氏は「サイゼリヤには上下関係がほぼない。高校生からシニアまで、だれもが和気あいあいと働いている。こうした職場を作れるのは、サイゼリヤの生産性が高いからだ」という——。

※本稿は、村山太一『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

業務用厨房で調理を行うプロの調理師のチーム
写真=iStock.com/Worledit
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とにかく作業がシンプルで、本当にムダがない

「ミシュランの星付きシェフがバイトに来るって本当かよ?」

2017年4月、サイゼリヤ五反田西口店はザワついていたようです。それは、僕がサイゼリヤでのアルバイトを始めた日です。

僕はと言えば、人のお店で働くのは7年ぶり。初心に返ってワクワクしていました。「よろしくお願いします!」とその場にいた店長さんやスタッフに頭を下げると、「それじゃ、さっそく仕事の説明をするね」と店長さんに店を案内してもらいました。

最初はレジ打ち、その後ホールや洗い場の回し方を教えてもらいました。もう、驚きの連続でした。サイゼリヤは高校生でもバイトができるように、とにかく作業がシンプルで、本当にムダがない。たった数十分の説明とOJTでだいたいの業務がステップアップできるようになっていたのです。