慶応大病院前は「年に数回あるかどうかの緊迫した場面」に

安倍晋三首相の健康問題に注目が集まっている。安倍氏は8月17日、東京・信濃町の慶応大病院に。その日のうちに「退院」したものの、夏に入ってから「吐血情報」「持病の潰瘍性大腸炎の再発」などの説が飛び交い続けている。実際のところ、どうなのか。

安倍氏が慶応病院に入ったのは8月17日午前10時半ごろ。東京・富ヶ谷の私邸を車で出発して、そのまま向かった。「首相が入院する」という話は16日から永田町を飛び交っていた。それだけにマスコミ各社は色めきだったのだ。

安倍晋三首相が診察を受けている慶応大病院付近に集まった報道関係者=2020年8月17日午後、東京・信濃町
写真=時事通信フォト
安倍晋三首相が診察を受けている慶応大病院付近に集まった報道関係者=2020年8月17日午後、東京・信濃町

首相周辺は「検査だ」と説明したが、誰も納得しない。午後6時ごろ安倍氏が病院を後にするまで、数十人の報道陣が見守った。年に数回あるかどうかの緊迫した場面だった。

盟友である麻生氏と甘利氏の「ただならぬ動き」

安倍氏の体調が悪いことをうかがわせる「傍証」は、いくらでもある。

週刊誌FLASHは「7月6日に吐血した」と報道。これには菅義偉官房長官が反応し「私は連日会っているが、淡々と職務に専念している」と否定した。しかし、これで体調不安説は消えない。むしろ周辺や与党議員から「明らかに疲れている」「吐血はしていないが、おう吐は、したらしい」等々の証言が消えない。

安倍氏は15日には麻生太郎副総理兼財務相と約1時間、私邸で話し合っている。麻生氏は、安倍氏を支える盟友であり、耳の痛い話もできる数少ない人物。「しばらく休め」と直言したのではないか、との見方も広がった。

呼応するように、同じく盟友の甘利明自民党税調会長は翌16日のテレビ番組で「ちょっと休んでもらいたい。あの人は責任感が強いから、いくら言っても聞かない。強制的に数日でも休ませないといけない」と発言。甘利氏は12日、首相官邸で安倍氏と会っている。麻生氏と「連携プレー」で安倍氏を休ませようとしているとの仮説が浮かび上がる。