全体主義との価値観戦争で勝ち残るために

新型コロナで明けた2020年、威圧的な言動であちこちで摩擦を起こし、米国中心の民主主義国家群との本格的な“戦争”に突入した習近平・中国。その行動原理を把握するうえで、屈指の中国ウオッチャーが著した本書は、前著『習近平の敗北』とともに必読といっていい。香港デモに多くのページを割き、新型コロナの感染拡大は中国に責任アリと明言、これが習政権の致命傷になると指摘する。

ジャーナリスト 福島香織氏
ジャーナリスト 福島香織氏

「歴史上、共産主義は民主主義より先に終わりが来ると思っています。産経新聞時代の先輩が目撃していた1991年の旧ソ連崩壊のような場に憧れていたというか。隠していた内部情報が一気にワッと出て、世界中からジャーナリストが集まって切磋琢磨するときが今に来るぞ、来るぞと待ちつつはや10年、20年(笑)。トランプと習近平が同時に出てきた今は、とにかく動きが速いけれど、民主主義という普遍的価値観と共産主義の全体主義的価値観とが激突する大きな節目。ギリギリ間に合ったと思っています」

89年の天安門事件、97年の鄧小平死去等々、「中国崩壊か?」と思わせる出来事を、中国は乗り切ってきた。