日本のテレビ局も「バカ」化している

がんになって手術を受ける際に、セカンドオピニオンを受ける人が増えているのはなぜだろうか。これは、いくら主治医が名医でも、一人だけの情報で判断するのが危険だと考えるからだろう。

私ならセカンドオピニオンどころかサードオピニオンやフォースオピニオンを求めたいくらいだ。複数の医師が勧めるやり方のほうがより信頼できると考えやすいからだ。

「ワンオピニオン」のみを信じた結果が吉と出ればそれでいいが、問題は結果が悪かった時だ。主治医の言いなりになって手術を受けたのか。それとも自分なりに多方面から意見を求めた上で受けたのか。それにより、後悔の度合いは違うはずだ。

警察やお上の発表をそのまま垂れ流すメディアの危険性

話をコロナ騒動に戻そう。

冒頭で触れた、コロナ対策で感染症専門家に大きく依存する政府の姿勢が変化しないのは、メディアの報道の仕方にも問題があると私は考えている。

日本のメディア(特にテレビ局)は意見が似ていて、どれも同じように見える。それは視聴者の思考停止化を促し、バカ化させる要因にもなりうる。

テレビ鑑賞-XL
写真=iStock.com/PhotoTalk
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現在、地上波の在京民放キー局は東京MXを含めてもたった6局だ。

アメリカは保守的なFOXのようなチャンネルもあれば、政権批判が当たり前になっているCNNのようなチャンネルもある。局によって見解が全く異なる。視聴者は多様な言論から自分の嗜好で選ぶこともでき、同じニュースに対して、いくつかの局の言説を比較することもできる。「言論の自由がない」と日本人が批判する中国でも30局くらいから選べる。

それらに比べると、明らかに日本のテレビ局は画一的な報道スタンスと言わざるを得ない。

「記者クラブ」制度もあいまって、警察やお上の発表をそのまま垂れ流し、正しい情報のように国民に思わせることは極めて危険だ。そうした環境だからこそ、今回のコロナ禍において「ステイホーム」以外の対策を訴えた局がなかったのではないか。

新規感染者が出続け、第2波がやってくると言われている中、コロナへの対応をどうすべきか、今後も国民が悩む場面は多いに違いない。その際は、「偏った意見」ではなく、なるべくいろいろな情報に接するべきだということだけは申し添えておきたい。

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