覚醒剤などの違法薬物に手を出した人は、出所後、どんな暮らしをしているのか。薬物依存を断ち切れた人がいる一方で、出所後も薬物を使い続けている人もいる。フリーライターの上原由佳子氏が、それぞれの立場の人に「なぜやめられたのか」「なぜやめられないのか」を聞いた――。
沖縄刑務所那覇拘置支所(那覇市)
写真=筆者撮影
沖縄刑務所那覇拘置支所(那覇市)

薬物は芸能界だけの話ではない

薬物をめぐるスキャンダルは定期的に報じられる。だが、薬物をやっているのは芸能人だけではない。筆者の住む沖縄県では、普通の主婦、性風俗店で働いている人、在留米軍の兵士など、「知り合いの知り合い」が薬物使用者というケースは珍しくしない。

本稿では、覚醒剤を使用している2人のケースを紹介したい。いずれも沖縄県に住む“覚醒剤の依存症から抜け出せた人”と、“いまだに抜け出せない人”の2人だ。

前者をAと呼ぼう。Aの親は公務員で、母親は専業主婦だった。家庭環境は恵まれていたが、Aは中学生からシンナーやライターのガスを吸っていた。