日本人の目から見ると、中国のスーパーで売られている野菜や果物は“傷み気味”の商品が多いが、ここでは一目で鮮度の良さが感じられた。

中国では、スーパーよりも対面販売の市場で買うほうが鮮度が良いという印象が強かったが、“カバさんスーパー”は、そうした先入観の払拭をめざしているようだ。

価格は既存のスーパーや市場に比べるとおよそ1.5倍と割高で、“アッパー層”にターゲットを合わせている。

たとえば、青梗菜1袋4.2元(約67円)、豚バラ肉450グラム26.8元(約429円)、豆乳750ミリリットル12.9元(約206円)など。品質は良いが、他店ではもっと安く買えると思うと、お金に余裕のある人向けだ。

客層は「爆買い」に来るホワイトカラー

デパートの食品コーナーや「成城石井」のようなイメージに近く、客層の中心はホワイトカラー。日本へ“爆買い”に行くような人びとだろう。

お得すぎる優待割引もう一つのウリは、店舗内にフードコートを併設し、食事ができる点。鮮魚コーナーの生簀で魚介類を購入し、その場で調理してもらうこともできる。

惣菜類も豊富に並んでおり、家族連れやカップルで賑わっていた。フードコートはそこまで画期的とは思えないが、買い物客が店内に滞留する時間が長くなるのは、メリットがありそうだ。中国には「外食はどんな食材を使っているかわからないから不安」という考えが根強く、その場で食材を買って調理してもらえるなら、安心感も大きい。

店内を歩いていると、スタッフの着ている制服に、さまざまなメッセージが書かれていることに気がついた。

スタッフの着ている制服
撮影=筆者

「野菜を買うことは、その先にある料理やテーブル、人生の幸福を買うことと同じです」(写真)「新鮮さのない生活は、本当の生活ではありません」「食を知るものは英雄だ」

なかなか意識が高いというか、やたらと志が高いのである。このあたりも、ロハスやシンプルライフの考えに近い現代的なセンスを感じる。

 

支払いはすべてセルフレジ、アリペイと連動の専用アプリで

支払いはすべてセルフレジで自動化されており、アリペイと連動しているスーパーの専用アプリで行なう。まごついているような人は見当たらず、スムーズに会計を済ませている。客もかなり慣れているようだ。

会計時のスクリーンはタテ50センチほどの大型サイズのため、年配者でも使いやすい。

「ポイントカードはありますか?」「支払い方法をお選びください」「バーコードのない商品はこちらを押してください」などと余計なことをゴチャゴチャ聞かれることがなく、手順は非常にシンプル。

セルフレジ導入のポイントは、できるかぎり手順をシンプルにして、誰でも頭を使わずに使えるようにすることだ。そんなことを気づかされた。