とくに系統立てて読むのではなく、話題の本を手当たり次第に乱読している。最近目について読んだのがこの本だ。

著者は小難しい「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で綴る「哲学エッセイ」を確立した人。今年2月に急逝した。この本には亡くなるまでの1年間に書かれたエッセイ44本が収録されている。

日ごろ経営者として変化の速い市場環境にさらされているため、人生を考えることや哲学などとは縁遠い暮らしを強いられている。著者は人生最後となる春夏秋冬の中で、あくまでも平易な言葉で存在の謎を問い続けた。その1年に接することで、日常を離れ「考える」時間を持てたと思う。