オンライン読書会に400人が集まった

先日、『組織開発の探究』という僕が中村和彦さんと共著で書いた本のオンライン読書会をやりました。ダイヤモンド社の編集者・藤田悠さん、永田正樹さんらとのコラボレーションです。

オンライン読書会では、ZOOMチャットを使って、400人以上が参加したのです。面白かったのは「父親の介護をやりながら聞いています」とか「いま子どもの塾の送り迎えの車の中です」とか「入院中なので病院のベッドで聞いています」といった人がけっこういたことです。物理的な場に集う会だと絶対に来られない人たちが多く参加していた。それで気づいたのは、自分がいままでこういう状況にいる学びたい大人のニーズにこたえられていなかったということです。

オンライン読書会では、事前の準備が非常に重要です。このときはまずオフラインで各地方にコミュニティーをつくってもらってそこで本を読み、章ごとのレジュメをつくってもらいました。このレジュメがオンラインの読書会の実際のテキストになります。こうした準備を含め、僕にとっては第1回だったので、オンライン用のイベント文法をつくって実験する場でもありました。

1回目は失敗もありました。400人を4、5人ごとのグループに分ける機能を使って、「はい、グループごとに感想を語り合ってください」とやったところ、誰から何を話していいのかわからなくて、みんな黙ってしまった。

そこで文法をつくり直し、2回目は「誕生日が1月に近い人から順に、第1章について、自分の経験で思われたことを1人2分で話してください。10分後には全員での議論に戻りますから、タイムキーパーを1人決めてください」と細かく指示を出しました。このときはすごくスムーズにいきました。

しかし、このオンライン読書会では、また新たな「イベント文法」をつくりあげることができました。わたしにとっても、学びの多い時間でした。

茶道や武道に通じる「イベント道」

地震や台風などの災害があって地域が分断され、人が物理的に集まりにくい社会になっているなか、こういうかたちで人が集えるということに希望を感じました。ただ、オンラインではオフライン以上に集まる目的を明確にし、イベントの文法を細部までつくり込む必要があります。

タイムスケジュールを分単位で組み立て、参加者が何を期待して、何を学んで、どんな感情でいて、どういうふうに会場は動いて、という具合に参加者目線でその日起きることをすべて予想しておかなくてはなりません。

でも、実際に予想した通りに進むことはまずない。だからはじまったら場に委ねるということも大事なんです。イベント運営の下手な人は、そもそも文法の設計はユルユルで成り行き任せにしているか、文法の設計をギチギチにやって、何があってもその通りにしようとする。茶道でも武道でもそうですが、型があるから即興ができるんです。そういう意味ではイベント道というものもあるのかもしれません。

立教大学の中原淳教授

実際にラーニングバーでは、毎回冒頭で茶道の「用意」「卒意」「主客一体」「一座建立」についてお話ししていました。茶会では主人が道具や空間を準備しますね。これが「用意」です。「卒意」は客が主人の意図をくんで、その役割を果たすことです。用意があって卒意がある。それが「主客同一」ということであり、共同で場の構成にかかわる「一座建立」につながるのです。