「子どもたちの権利のために闘いたい」

イタリア出身で東京在住のトッマーソ・ペリーナ氏は、妻が休暇で2人の子どもを連れて実家に帰った際、その数日後に妻から「離婚したい」と告げられたという。ペリーナ氏は、2017年8月から息子と娘に会えていない。

仙台家庭裁判所は、彼に子どもと会うことができる「面会交流権」を審判で認めたが、彼の妻はその命令の受け入れを拒否し、住所も変えてしまった。日本の警察は、彼の子どもたちの居場所を把握しているが、イタリア大使館が警察や外務省に問い合わせても回答はない。

ペリーナ氏は、子どもに会うために、さらに同家裁に「調停」を申立てることになる。このような家裁の手続きの慣習により、連れ去られてから再び会えるまで、さらに長い時間を要することになる。子どもに会えないまま、すでに2年がたっている。

「子どもたちには、父親、母親の両方と一緒にいるための権利がある。自分の権利のためではなく、子どもたちの権利のために自分は闘いたい」と彼は「宣戦布告」する。

世界でも珍しい「単独親権制度」の日本

フィショ氏もペリーナ氏も、それぞれの大使館を通して子どもたちの身の安全を確認するよう要請しており、各国大使は日本に滞在している本国の未成年者の住所や健康事情などを把握する責任があるが、これに対する協力を別居親自身も日本政府も、拒否している状況だ。これについての大使の権限はウィーン条約の取り決めのため、この条約を日本は守っていないことになる。

単独親権制度は、世界でも珍しくG20の中では日本とインド、トルコのみだ。ほかの国は離婚後も両親ともに親権がある「共同親権」制度となっている。

フィショ、トッマーソ両氏のようなケースは、日本人同士の夫婦においても横行しており、これまでに数十万人の子どもたちが一方の親から引き離されている。

「5歳と3歳の子供を妻に連れ去られた父親の叫び 連れ去った勝ち『単独親権』の大問題」

近年の国際結婚の増加により、外国人がこうした「連れ去り」の被害者となり、日本政府や国連への抗議活動を行い、こうした問題を指摘し始めた。それによって、今、深刻な外交問題となりつつある。