虐待対応には組織マネジメントの向上が急務

しかし、制度構築を虐待対応の現場は待っていることはできない。時間がかかるならより一層早く新たなシステムを動かさねばならない。どのような家庭環境に生まれようと、その命を守っていく責任が私達大人にはある。

①個人の能力の向上、②組織マネジメントの向上、③地域マネジメントの向上に取り組むことは待ったなしである。これまで、①個人の能力向上としての国家資格化について言及してきたので、②③についても言及しておく。

まず、組織マネジメントの向上が急務である。

これまで国家資格化の提言等により個人の能力の向上について言及してきたが、児童虐待対応は組織で行っているものである。

個々人の職員の能力向上は必須であるが、一人の児童福祉司に法令知識や保育・保健・医療・心理等、あらゆる知見を求めることは現実的には難しいことではある。個々人の凸凹をチームとして補い合うのが組織であり、管理職および自治体トップにはその組織マネジメントの責任が厳しく問われるべきである。

新卒採用は行わず、異動時期を集中させない

では、どのように組織マネジメントを行うべきか。日々のチームマネジメント作りと運用改善等について、7点挙げておく。

①新卒配置は原則行わないこと。
②異動時期を4月1日に集中させずに、年に何度かに分けること。
③児童相談所配置前に、児童福祉司として必要な知識習得のための研修や資格取得を済ませること(自治体としてのバックアップも必要であろう)。
④ケース担当を引き継ぐ場合は、主役である子どもの理解を得つつ、長期の引き継ぎ期間と重複担当期間を設けること。
⑤組織の人員配置構成としては、保育士、保健師、医師、心理士、弁護士等の複数の専門職がチーム内にいるようにすること。それぞれ違った専門的観点から危機判断や見立てができるような組織づくりを行うこと。
⑥経験年数の浅い職員に対する集中的研修を行いつつ、1年目職員には必ずOJTとして、指導教育担当職員と2人体制での同行を経験させるなどの運用を行うこと(泣き声通報や介入の時に誰と誰を現場に向かわせるのかも、重要な危機管理マネジメント判断である)。
⑦児童福祉司や心理士の給与体系を見直すことや資格手当、特殊勤務手当などを制度化すること。

児童相談所としても、そして自治体全体としても、まだまだできる工夫はあるはずだ。給与体系の問題、拘束勤務時間の問題、人材育成・評価制度の問題、こうした点に配慮を求める声とともに、「辛いけど、これだけやりがいのある仕事はない」と言い切る職員は多い。こうした使命感をもって取り組んでいる現場の児童虐待対応職員らに対し、組織の管理職が果たすべき責任は重い。管理職の組織マネジメント次第で、職員がつぶれもするし、職員のやりがいをつなぎチームの力を最大化することもできるのである。