戦争を体験した人を敬う気持ちはないのか

日本維新の会が丸山氏の除名処分を発表した翌日(15日)付で、朝日新聞と毎日新聞、それに東京新聞が社説に取り上げ、一斉に議員辞職を求めている。丸山氏の議員辞職は時間の問題だろう。

朝日社説はその後半で指摘する。

「90歳近い元島民の団長は、からむように質問を続ける丸山氏に対し、『戦争はすべきではない』と何度も繰り返した。戦争によって故郷を奪われた悲痛な体験を踏まえた見識である。戦後生まれの35歳の丸山氏と、なんと対照的なことか」

1970年代前半に流行った古い歌だが、丸山氏は「戦争を知らない子供たち」である。戦争を体験した人を慮って敬おうとする気持ちはないのだろうか。

朝日社説は「政治家としての見識を欠き、自らを律することもできないのでは、国会議員の資格がないと言わざるを得ない。本人は無所属で活動を続ける意向を示した。となれば、衆院として辞職勧告を検討すべきではないか」と主張して筆を置いている。

日本維新の会に続き、国会(衆院)からも辞職を求められれば、丸山氏には議員辞職しか道は残されていない。この夏、参院選1本ではなく、衆参同時のダブル選挙の可能性もある。まだ35歳である。本当に反省しているのであれば、議員辞職は早いほうがいいだろう。

「領土問題の歴史をきちんと理解しているのか疑わしい」

毎日社説も中盤でこう指摘する。

「国家間の問題をいとも簡単に戦争で解決しようと言う政治家がどこにいるだろう。現代では、政治の究極的な目的は戦争を起こさないことにある。あまりの見識の無さにあきれるほかない」

毎日社説の指摘の通りで、戦争を起こさないように外交努力を続けるのが政治家である。丸山氏には政治家としての資質がないと思う。

さらに毎日社説は指摘する。

「大戦末期、ソ連が中立条約を一方的に破棄して対日参戦し、北方四島を軍事占領したのは史実だ」
「戦後、北方四島の帰属をめぐって交渉が続けられてきた。そうした経緯を無視して武力で取り返せばいいというのは、時代錯誤も甚だしい」
「丸山氏は衆院沖縄・北方領土特別委員会の委員として同行した。35歳の丸山氏は経済産業省の元官僚だ。領土交渉を国会で審議する重要な立場だが、領土問題の歴史をきちんと理解しているのか疑わしい」

丸山氏は東大卒の学歴と官僚の経歴を持つが、戦争発言を聞いてだれもが「領土問題の歴史を勉強しているのだろうか」と疑ったと思う。やはり政治家としての資質がない。