レーダー照射問題から派生して注目された「ある音声」

韓国海軍の駆逐艦が日本の海上自衛隊の哨戒機に対して火器管制レーダーを照射したとされる問題。泥沼化した日韓関係を象徴している事件だが、防衛省が公開した証拠映像の本筋ではない部分がにわかに注目された。海上自衛隊が韓国の駆逐艦に「This is Japan Navy(こちら日本海軍)」と呼びかけている音声が確認されたからだ。

海上自衛隊の正式な英語名称は「Japan Maritime Self-Defense Force(JMSDF)」。「Japan Navy」と名乗ったことに韓国側は敏感に反応して、「日本の野心の表れ」と批判する韓国メディアもあった。しかし多国籍軍や共同軍事演習などの実務で自衛隊が「Japan Navy」と自称するケースは以前からあったが、図らずも今回の証拠映像は「自衛隊」=「軍隊」という世界の現実を国民の前にさらけ出したわけだ。

首相官邸で会談する玉城沖縄知事と安倍首相(2018年10月12日)。(AFLO=写真)

自らの非を認めずに手前勝手な言い分で問題をすり替えようとする韓国の対応は最悪だが、憲法と自衛隊の矛盾をごまかし続けたまま平成の幕を閉じようとしている日本政府にも問題がある。だからレーザー照射問題で韓国に突っぱねられ、「Japan Navy」で揚げ足を取られるのだ。

自衛隊は「軍隊」と見られている

自衛隊(Self-Defense Force)は世界から軍隊と見られている。しかし日本政府は「自衛隊は軍隊ではない」と言い張ってきた。「自衛のための必要最小限度の実力」であって、憲法第9条2項で不保持を謳っている「陸海空軍その他の戦力」に該当しない。従って合憲である、と。

そう言いながら防衛庁を設置し、防衛省に格上げし、世界第8位の軍事費をかけて「実力」を磨いてきた。自衛隊の海外派遣の道を拓いて、国連PKOや米軍の後方支援ができるようにした。安保法制では集団的自衛権の行使が可能となり、自分の身を守るための武器使用だけではなく任務を遂行するための武器使用もOKになった。

私は長年にわたって国民にきちんと説明して理解を得たうえで、国防軍に切り替えるべきだと主張してきた。世界第8位の軍事費を投じながら、「軍隊を持っていない」というのは納税者に失礼だし、第一外国からは馬鹿にされる。しかし、戦後長く続いた自民党政府は国防軍の必要性を国民に問うてこなかったし、憲法を変えなければいけない理由も説明してこなかった。「戦争しません」「軍隊は持ちません」と建前を言いながら、憲法を拡大解釈して、じりじりと軍事大国化してきた。しかし専守防衛、という建前では尖閣諸島などが占拠されたときには奪い返す兵器、あるいは海兵隊などが準備できない。