「獺祭」と「賀茂鶴」を飲み比べ
まず「自民亭」の模様を再現してみよう。赤坂にある衆院議員宿舎の宴会ができる部屋。自民党議員がそれぞれ郷土料理や地酒を持ち寄って酒盛りを行った。自民党内の懇親が狙いで毎年行ってる。例年は中堅、若手議員が中心だが、今回は午後8時半ごろ安倍晋三首相が姿を現したこともあり、いつもより多い50人程度の議員が集まった。「自民亭」はこれまで30回近く開いているが現職首相の出席は初めてだったという。
出席者の話によると、それぞれが持ち込んだ酒を飲み比べながらお国自慢をし、安倍首相とツーショットの写真を撮り……といった具合で誰が何を話しているか聞き取れないほどの盛り上がりだった。
安倍首相の地元・山口の獺祭、大規模火災で被災しながら復活した新潟県糸魚川市の名酒・加賀の井、広島の酒・賀茂鶴などが振る舞われたが獺祭を飲めば「安倍支持」、賀茂鶴なら「岸田支持」など9月に迫った自民党総裁選を題材にしたジョークが飛び交った。ちなみに出席議員の大半は結局、獺祭と賀茂鶴の両方を飲む羽目になったという。
未曾有の水害の最中に、与党首脳がこぞって酒盛り
乾杯のあいさつは竹下亘総務会長が務め、「自民亭の女将」でもある上川陽子法相の発声で「万歳」をした。
党が一枚岩となって盛り上がるのは大いに結構なのだが、タイミングが悪すぎた。5日は近畿、四国、北陸地方などで記録的な降雨を記録。6日以降の豪雨の被害のすさまじさはここで書くまでもない。
まさに未曽有の水害が起き始めている時に首相、被災者救出や災害復旧に前面に立つ防衛相ら政府与党の首脳がこぞって酒盛りをしていたのだ。首相官邸で関係省庁の情報を集めて指示を飛ばすべき役割の西村康稔官房副長官に至っては午後10時すぎ、宴会の写真をツイッターに添付し、「和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!まさに自由民主党」などとのんきなつぶやきをしている。批判が集まるのは当然のことだ。