5月7日、旧民進党と希望の党が合流して国民民主党が発足した。だが、新党への参加者は62人にとどまった。国民民主党の共同代表の玉木雄一郎氏が打ち出すのは「対決よりも解決」。国民民主党は国民の信頼を取り戻せるのか、ノンフィクション作家の塩田潮氏が聞いた――。(前編、全2回)

旧民進党と希望の党の合流でいい仲間が集まった

【塩田潮】旧民進党と希望の党と合流し、5月7日に国民民主党が発足しました。両党の国会議員の合計は109人でしたが、国民民主党への参加者は62人にとどまりました。野党総結集を目指したのに中くらいの結集の印象です。誤算だったのでは。

玉木雄一郎・国民民主党共同代表

【玉木雄一郎・国民民主党共同代表】私はよく60人以上も集まったという感じです。非常にいい仲間が集まりました。

【塩田】5月19~20日実施の朝日新聞の世論調査によると、政党支持率は1%、「国民民主党に期待する」と答えた人は21%で、「期待しない」は69%でした。

【玉木】これからだと思います。選挙は最大の広報ですが、まだ選挙を経ていないので、大々的に政党をアピールする場もない。むしろ支持率1%の党に「期待する」という人が2割前後もいるという点を大切にしなければ、と思っています。支持率は上がらないけど、実は党の中は明るいんです。若い人が多く、理念、政策を明確にしてどんどん打ち出していく党に、という空気が強い。

【塩田】旧民進党と希望の党の国会議員の43%が参加を見合わせました。

【玉木】国会議員全員に声をかけましたが、あまり無理はしていません。ずいぶん説得しましたが、最後はご自身の判断ということで、参加できる人が集まればいいという方針で臨みました。

昨年9月28日、旧民進党で希望の党へ移行を決めたとき、残った人たちは後から来ると事実上決めていました。国民民主党の結党は、それを約束どおり実行した形です。ですが、みなさん、それぞれ選挙区事情などがあり、地元の地方議員が立憲民主党に行きたいと言っているとか、立憲民主党系と国民民主党系の両方の地方議員の応援を受けなければならないので無所属で、と言う人も多かった。そういう人を無理に引き込んでも、と思いました。今回は第1弾で、これから第2幕、第3幕があると思っています。

【塩田】岡田克也元民進党代表や野田佳彦元首相など、旧民主党時代の「顔」といわれたベテランの人たちの多くが参加を見送りました。

【玉木】岡田さんを中心とするみなさんは、最終的に立憲民主党と国民民主党をつなぎたいと考えていて、どちらかの党に入ると、両者の橋渡しができなくなるから、中立でいるという意味で無所属を選んだ、と説明を受けました。

【塩田】少しさかのぼって、去年10月の総選挙の際、希望の党への移行、立憲民主党への参加、民進党残留の3つの道があったと思いますが、玉木さんはなぜ希望の党に。

【玉木】組織決定があったからです。トップの前原誠司さん(当時、民進党代表)が、希望の党への合流を提案し、両院議員総会という議決機関で決めたから移りました。組織で決めたら従うべきです。あのときの両院議員総会では、後に反対意見を言うようになった人も含め、ほとんどの人が拍手していた。当時、代表代行だった枝野幸男さん(現立憲民主党代表)も幹部のほうにいましたよ。

【塩田】総選挙後、希望の党の代表選に出馬し、共同代表に就任しました。あの時点で、党首としてどんな使命と任務を果たさなければ、と考えたのですか。

【玉木】火中の栗を拾おうと思った。野党第二党で、ある種のねじれやマイナスを抱え込んだ政党でした。党首はあまりいい仕事ではなく、実際、生まれて初めて個人で借金の保証人になった。だけど、歪んでしまった関係は誰かがどこかで直さなければいけない。先輩方は歪みをつくってきた立場だから、中堅の私が歪みを正さなければと思いました。