匿名でも決して、安心はできない

軽い気持ちでSNSに書き込んだひと言。それが不特定多数の人から批判の的にされ、大量の中傷メールが届いたり、ネット上に悪口が書き込まれる……。俗に言う“炎上”の状態だ。「匿名」「プライベート用」という理由で、自分には起こらないだろうと考えている一般人も注意すべきだと、ネット関連の法律に詳しい清水陽平弁護士は警告する。

写真=iStock.com/alexsl

「フェイスブックやインスタグラムなど、数あるSNSの中で、炎上が起こりやすいのがツイッターです。SNSでつながっている友人が少ないからといって、安心できるわけではありません。友人とのやりとりは他の人に見えているし、赤の他人が見られないように『鍵をかける』設定にしても、スクリーンショットに撮って拡散される恐れもあります」

友だちが少ないことで、世に公開されている意識が薄くなり、炎上を招く書き込みをしてしまうことは多い。非難を受けやすい内容は、攻撃的・差別的な発言や、違法行為の自慢など。書いた側に悪意がなくとも、叩かれることもある。最近多いのは、ジェンダー関係の書き込みだ。

そして炎上のターゲットにされれば、「ネット中傷を受けている人の多くは、うつ症状に陥ることが多い」(清水氏)というように、多大な精神的ダメージを受ける。さらには私生活や仕事での損失をもたらすことも。

「匿名であっても、それまでの書き込みの内容や、SNSでつながる友人の断片的情報をつなぎあわせて、勤務先や実名が特定されることがあります。個人が特定されると自宅や勤務先にまで嫌がらせがいくケースも。業務やモラルに関わることになれば、評価が下がり、退職に追い込まれる事例も出ています」(同)