「確率」の応用編として、今回はビジネスシーンで確率のことを考えてみたい。

たとえば、あなたに命じられた仕事が成功確率1%だとしよう。とても無理だと最初からあきらめモードになるかもしれない。実際、道のりは険しいだろう。しかし、発想を転換してみれば、前向きな気持ちになれるかもしれない。

サイコロの目の出る確率は、どの目が出るのも確率は6分の1だが、6回振れば必ず狙った目が出るわけではない。20回振ってようやく約97%の確率で狙った目が出る。

同じことを野球のバッターを例に考えてみよう(図参照)。打率3割のバッターが1回の打席でヒットを打つ確率は30%だが、3回打席に入れば必ずヒットが出るわけではない。1試合4回の打席ですべて凡退することもある。ただし、打席の数が増えればヒットが出る確率も上がる。これもヒットが出ない確率から計算すればよい。

3割バッターが最初の打席でヒットを打てない確率は「1-10分の3=10分の7(70%)」だ。すると2打席目までヒットを打てない確率は「(10分の7)の2乗=0.49(49%)」。3打席目までヒットが出ない確率は「(10分の7)の3乗=0.343(約34%)」。つまり、3打席目までに少なくとも1本ヒットが出る確率は「1-0.343=0.657」で約66%だ。意外と高く感じはしないか。

そして、4打席目までにヒットが出ない確率は、「(10分の7)の4乗=0.2401」。つまり、4回打席に立てば少なくとも1本ヒットが出る確率は、「1-0.2401=0.7599」で約76%となる。さらに、5打席目まで回ってきたら「(10分の7)の5乗=0.16807」で、少なくとも1本ヒットの出る確率は「1-(10分の7)の5乗=0.83193」で約83%だ。打席に入る回数が増えれば増えるほど、ヒットが出る確率も上がるのだ。