あなたが伝えたい結論は何か

話を伝え方に戻しましょう。まず何より、きちんと結論を出しましょう、表現しようということです。

伝えるべきことの結論は何か。聞き手に受け入れてほしいことは何か。これをはっきりさせましょう。

伊藤羊一『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』(SBクリエイティブ)

考えてみれば、伝えたいことがあるから伝えるのですから、その結論がない、というのはおかしいのです。しかし、実際には、そんな当たり前のことができていません。最初に「結論は何か?」「相手をどこに動かしたいのか?」と明確に決めずに話し始めて迷走したり、資料を作り始めて、「結局、何?」というような資料になってしまったりすることがあるんです。

そして準備を始める段階ではしっかり結論を明確にしていたとしても、準備しているうちに、あれやこれや言いたいことが出てきて、それを加えているうちに、何だかよくわからないストーリーになっていくこともあります。完璧にしようと頑張るうちに、そもそもの結論が見えにくくなってくるわけです。

また、これは日本人に特徴的かもしれませんが、結論を明確にすることで、その結論に反対の立場をとる人が傷つかないだろうかとか、自信がないところを突っ込まれたらいやだから、ちょっとぼやかしておくかとか、余計なことを考えてしまいがちです。すると、どんどん何が結論なのか、賛成なのか反対なのかわからなくなってきます。

この場で、あなたが伝えたい結論は何か。これをはっきりさせましょう。それが「考える」ということです。

結論を出していくためには、「自分に問いを立ててみる」のがよいと思います。まずはピラミッドの下にある「根拠」を並べて、「だから何?」と問うてみる。そして出てきた「答え」に対して「ファイナルアンサー?」「本当か?」と問うてみましょう。

「だから何?」「ファイナルアンサー?」「本当か?」

「考える」というのは、結論を出す行為だと申し上げました。人間の頭はそう賢くはないですから、頭をなんとなく動かしていると、いつまでたっても結論が出ません。

これは「悩んでいる状態」です。仕事をしていると、「これは悩ましい」とか「少し悩んでしまう」という状態になることがあるのではないでしょうか。

ただ「悩む」と「考える」は、明らかに違います。「悩む」は考えが頭の中をぐるぐる回って、結果、無限ループにはまっている状態というイメージです。

「悩んで」いても結論は出てきません。この「無限ループ」を避けるためにも、機械的に「考える」=結論を出す習慣をつくるのです。そのために自分に問う。黄金の質問は、「だから何?」「ファイナルアンサー?」「本当か?」です。