「退職金プラン」で利用者が得することはほとんどない

金融機関の提案を鵜呑みにしないほうがいいのは、多くの銀行が退職金運用の受け皿として勧める「退職金運用プラン」も同様である。このプランは、退職金が1000万円だとしたら、500万円を投資信託の購入資金に、残りの500万円を「特別金利」が適用される定期預金に預けるというものだ。

特別金利は6%を謳っていても、適用期間が3カ月しかないものがあり、実質1.5%程度。そして投資信託を購入する際、手数料が2.0%取られるなどのカラクリがあり、利用者が得することはほとんどない。

そして今、とりわけ注意を払うべき金融商品が、仮想通貨である。チャンスが転がっている一方で、購入後、窓口と音信不通になるような詐欺も目立っている。見極め方としては、日々の出来高がネット上で確認できない通貨は確実に怪しい。そして「この仮想通貨を購入して、ほかの人に紹介すると手数料が入りますよ」というマルチ商法とからめた仮想通貨も、避けたほうがよい。

▼トラブル急増中!? 仮想通貨事件簿

2017.03
●大使館が「未承認」と声明
フィリピンの開発投資に使われると話題だった「ノアコイン」。在日フィリピン大使館が「国家プロジェクトではない」と注意を喚起。


2017.10
●虚偽の説明で取引停止
仮想通貨「クローバーコイン」を販売する48ホールディングスが、「3カ月で128倍の価値になる」など虚偽の説明をしたことで、3カ月間の販売取引停止に。


2017.10
●返金能力なしに現金を預かる
仮想通貨「リップル」の取引仲介会社が、返金能力がなかったのに取引希望者から現金を預かり、約1700万円を詐取。代表が逮捕された。

×:金融機関に勧められるまま金融商品を購入
○:世界経済と連動したインデックスファンドで確実に資産を増やす

鈴木雅光
金融ジャーナリスト
岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立。単行本の制作、執筆の他、各種オンラインメディアに、投資信託や金融市場全般に関する記事を寄稿。
 
(構成=吉田洋平 写真=iStock.com)
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