中学受験で第1志望校に合格できるのは3人に1人。夢を果たせない子のほうが多いのだ。中学受験塾代表の矢野耕平氏は「親が不合格のがっかりした感情を引きずると、子の中高生活やその後の人生に悪い影響がある」と指摘する。子の中学受験を「前向きに終了させる」ために親がすべきこととは――。
「晴れ」の日なのに、「曇った」表情を見せる子どもたち
今春、中学入試を終えた子どもたちの中学校生活がいよいよ始まる。この時期、わたしが気がかりなのは、「晴れ」の日にもかかわらず、「曇った」表情を見せる子が少なくないことだ。
中学入試、とりわけ首都圏の難関校の入試が集中する2月1日は例年かなりの激戦となる。第1志望校に合格できる子は「3人に1人」と言われている。つまり3人に2人は第1志望校に合格するという夢を果たせなかったことになる。
▼「併願校」の入学式に臨む親が暗いワケ
ある私立中高の校長からこんな話を聞いたことがある。
「ウチの学校の入試は2月2日と4日の2回だったのですが、ある年から2月1日の入試を増やしたんです。そうしたら、どうなったと思いますか? 入学式が本当に明るい雰囲気になったのです」
入試を2月1日に行うと、その学校を第1志望校とする受験生がぐんと増えるのだ。それまでは、別の第1志望校の「併願校」としての位置づける受験生が多かったのだろう。この校長は、「当時は第1志望校に受からず、仕方なくウチの学校に入学したという新入生が多く、入学式は本当に暗かったのですよ」と語る。そして、ちょっと皮肉っぽくこう付け加えた。
「まあ、暗いのは子ども本人よりも、むしろ保護者のほうだったなあ」