確実に資産を増やす方法はあるのでしょうか。「プレジデント」(2018年1月15日号)では、10人の識者に「知っておきたいお金のキーワード」について聞きました。第7回のテーマは「ロボアドバイザー」です――。(全10回)

運用成績での比較は、さほど意味がない

囲碁・将棋だけでなく、クルマや家電など身近なものへの活用が進んでいるAI(人工知能)。金融の分野でも様々なサービスで使われており、その中で最も注目されているのが「ロボアドバイザー投資」(以下、ロボアド投資)だ。

「AIが投資家に合った金融商品を選び、実際の取引まで行う金融サービス」のことで、ロボアド投資を提供している金融機関のサイトやアプリから出される質問に回答すると、投資信託など複数の金融商品を組み合わせた“おすすめのポートフォリオ”を提案してくれる。それにOKを出して、口座を開設し、お金を振り込めば、ポートフォリオ通りの金融商品を自動的に購入できる仕組みだ。

このとき出される質問は、年齢や性別、資産運用の目的、投資経験の有無といった簡単なものばかりで、金融の知識が必要なものは一切なし。口座開設の申し込みまで5分足らずで終了する。

日本で本格的にスタートしたのは2016年。特にテオ、ウェルスナビ(図表参照)の注目度が高いが、17年12月時点の業界全体の投資残高は1000億円程度(推計)と爆発的ヒットとはいい難い。しかし、“ロボアド投資先進国”の米国では、すでに16年で約800億ドル(約9兆円)を超えている模様。個人投資家の資産運用の手段として完全に定着している状況だ。

ロボアド投資の最大のメリットは“お手軽さ”にある。質問に答えてお金を振り込めば、世界の金融市場の膨大なデータを分析した、最先端のAIが全自動で運用してくれるのだ。これ以上簡単な資産運用の手段はないといっていい。