いざというとき、自分の身を守ってくれるものは何か。その筆頭は「法律」だ。「プレジデント」(2017年10月16日号)の「法律特集」では、8つの「身近なトラブル」について解説した。第1回は「駐車違反のナゾ」について――。

誰が違反したのか警察は知らない

「駐車違反で黄色いステッカーを貼られたら警察へ出頭すべし」

写真=iStock.com/yu-ji

そう思い込んでいる運転者がまだまだ少なくない。しかしそれは完全に迷信。出頭する必要はなく、出頭したら大損だということを、しっかり頭に入れてほしい。

2006年6月1日、駐車違反取り締まりの民間委託がスタート。緑色系の制服を着た駐車監視員が取り締まりを行うようになった。

従来は、15分とか20分とか、いわば猶予を与えて取り締まっていたが、新制度では、車内に運転者がいないことを確認したら直ちに取り締まりを開始する。特に迷惑のない場所に駐車して公衆トイレへ行き、数分して戻ったら車両のフロントガラスに「あっ、ステッカーが!」といったケースがよくあるようだ。

そのステッカーには、どこかへ出頭せよとは一切書かれていない。知らん顔をしていると、だいたい1週間ほどで警察から郵便が届く。なかには「放置違反金」というペナルティの納付書が入っている。金額は、駐車禁止場所における普通車の駐車違反なら1万5000円。これを払えば、その違反についての処理は終了する。郵便は、ナンバーから判明した車両の持ち主へ送られる。誰が違反したのか警察は知らない。違反者に違反切符が切られないまま終了するのだ。