なぜ、専業主婦はPTA委員に何度も選ばれるのか

▼2:専業主婦が困惑「人間関係や複数回の役員就任」
写真=iStock.com/SaulHerrera

アンケート調査結果によれば、PTAの委員・役員に就いた活動期間に、フルタイムと専業主婦の比較で差が大きかったものは「何度も委員になる」(専業主婦31.7%・フルタイムの女性23.5%)と「人間関係が難しい、ストレスを感じる」(専業主婦44.4%・フルタイムの女性36.5%)でした。自由記述のなかでも、専業主婦からは下記のような意見がありました。

「(PTA委員には)やはり専業主婦の人が選ばれやすく、また、候補に挙がった人が集まる場で休んだ人は免れ、まじめに行った人が選ばれるのは不公平である」
「役員選出など保護者間で結構もめたり、会議が夜に行われたりすることから、子どもを1人家においての出席になる家庭もありました。誰のためのPTAなのかわからないです」
「仕事を持っている方と仕事を持っていない方の間にはじめから壁がある」

子育てをしながら働く女性が増えるなか、主に専業主婦の女性を中心に構成されることを前提としたPTAの活動内容やその運営などを継続することで、結果的に働く女性・専業主婦双方の負担を増やしてしまうことになります。今後のPTA活動のあり方は、従来の形式にこだわらず、両者にとって良い形に変化していくことが求められています。

▼3:PTA活動の最大の負担削減策は「IT活用」

アンケート調査結果のなかで、フルタイムの女性の41.2%が「連絡の方法や、運営のあり方が効率的ではないと感じる」と回答しています。パートタイムの女性(25.7%)、専業主婦の女性(25.1%)に比べると、フルタイムの女性のPTA活動の効率性に対する問題意識が高いことがうかがえます。自由記述のなかでも、フルタイムの女性からは、下記のような意見がありました。

「無駄な時間が多い。時間の使い方が非効率過ぎる。必要な活動だけに絞ったらいいと思う」
「会合での議題案の量を多くして会合数を少なくすれば、何回も集まらなくても良いと思う」
「もっと回数を減らすことが可能だと思っていた。会合のほとんどは、連絡プリントやアンケートなどで済む内容だった」

また、ITの活用でより効率化できるという自由意見は、フルタイムの女性、専業主婦の女性双方から出ています。

「掲示板の活用、メールでの連絡などもっと活用して欲しかった」(フルタイムの女性)
「ネットが主流の時代になって来たので、ネットで会議等すれば負担が少ないと思います」(専業主婦の女性)

これらの意見を踏まえると、ITツールの活用や運営の見直しなどを通じた効率化を行い、一堂に会しての活動にかかる時間を軽減するなど、PTA活動にかかる負担を減らす余地は残されていると感じます。