働く女性に“配慮”が足りないPTAはいかがなものか
内閣府の「男女共同参画白書2017(平成29)年版」によれば、女性の就業率は年々高まっています。2001年に62.0%だった女性の就業率は、2016年には72.7%へ。政府は、2020年までに77%とする目標を掲げています。目標達成のためには、女性にとって働きやすい環境づくりをさらに進めることが求められます。
例えば、仕事と家庭の両立が実現しやすい職場環境づくりはもちろんのこと、働く女性が抱える育児・家事負担を軽減することも必要です。その育児・家事の項目の中でも意外に保護者の負担が大きいのが、子供が通う学校の「PTA活動」です。
本稿では、「かんでんCSフォーラム」が2016年に実施した「PTAの委員・役員活動」に関する調査結果(PTA・保護者会の委員・役員経験のある全国の女性597人が対象。以下、アンケート調査結果)を踏まえ、女性にとってのPTA活動の負担について考察します。
2016年の総務省「社会基本調査」によれば、20~59歳で子供を対象とした(PTA活動を含む)ボランティア活動のために行動している人は、男性に比べて女性が2.4倍多いことが明らかになっています。女性がPTA活動する上での課題はどんなものがあるのでしょうか。
▼1:働く女性の半数以上「PTAとの両立は難しい」
アンケート調査結果によれば、PTAの委員・役員時に「仕事の継続・両立の難しさ」を感じていた人は、フルタイムの人では65%、パートタイムの人では55%でした。働く女性の約半数が、仕事とPTA活動の両立に負担を感じていたことがうかがえます。
特に、フルタイムの女性が活動期間のなかで最も困ったことは、「仕事や家事などとの時間の調整が難しい」ということでした。アンケート内の自由記述でも、フルタイムの女性からは、下記のような意見がありました。
「PTAは、保護者が日中在宅している前提で動いているので、仕事をもっていると非常に参加しづらい。PTA費を上げてもらって構わないので外注にしてほしい」
「昼間ではなくて夜にやってほしい」
「PTA活動しづらい人のために、家でできる活動を増やし担当してもらえばよいのにといつも感じる」
職場環境やたずさわる仕事の内容によっては、有給休暇を柔軟に取得できない女性も少なくありません。そこで企業側にも、「時間単位の休暇」の導入をはじめ、仕事と家庭の両立しやすい環境づくりを整備することが期待されますが、同時に、働く女性でも参加のしやすいPTA運営のあり方を考える必要があるのではないでしょうか。