自らクルマを運転して、地方へ出向く星崎社長。(写真提供=メガネスーパー)

社員をバスに乗せるため、大型免許取得

ホシキャラバンに関係する、飛行機や新幹線、クルマの手配、ホテルの予約など、すべて私が担当する。もともと、旅行のスケジューリングや手配が好きなこともあって、誰かに任せると、

「どうしてこの便にしなかったんだ?」

「この新幹線で行けば、何時の乗り換えに間に合うから、もっと早く店舗入りできるのに」

「こっちのホテルのほうがコストパフォーマンスはいいだろ」

などと、つい文句を言ってしまう。それなら、自分でやってしまったほうがストレスもないので、私自身が手がけているというわけだ。

クルマの運転も私が担当する。何台かで分乗する場合には、各車両にトランシーバーを持たせて、1号車である私を先頭に、随時トランシーバーで連絡を取り合いながら部隊を進めていく。

実は、メガネスーパーの社長になってから、大型二種免許を取得した。私がバスのハンドルを握り、後ろにスタッフを乗せて現地入りすることもある。そのほうがコストを抑えられ、段取りも楽だからだ。

社長室なし、秘書なし、アポもなし

私は、常にフィールドに出ていたいタイプの経営者だ。現場の空気に、いつも触れていたい。社長室にこもって、報告を聞くだけでは仕事をした気にならない。

そもそも、私には執務室がない。小田原の本社には他の社員と同じ机が一つあるだけ。東京本部には専用の机すらなく、私物は、銀行との面談や大事な商談のときに羽織るジャケットが1枚おいてあるのみだ。当然、秘書もいない。

ノートパソコンとスマホがあれば、どこにいても経営データは確認できる。あとはキャリケースに資料と少しの私物を入れておけば、日本中、世界中のどこにでも飛び、行く先々で仕事ができる。キャリケースこそ、私の社長室だ。

秘書がいないこともあり、私がどこにいるか、社員はほぼ把握していない。それこそ神出鬼没。急に思い立って、自分一人で地方に飛び、「やっほー」と店舗をのぞきに行く。「星崎さん、昨日、福岡に出没したらしい」といった目撃情報が本社で回っているそうだ。

アポなしで店舗に出向くと、「突然どうしたんですか!」とスタッフが驚く。「ちょっと時間が空いたからさ。どう、元気?」「そういえばこの前、登録販売者の試験に合格していたよね。おめでとう。よかったね!」などと、スタッフとざっくばらんに話をするのが私の楽しみだ。アクション会議に参加できない年次の浅いスタッフと会話できる貴重な機会だ。

ときには、前日のアクション会議で決定したことが、店舗に反映できていないのを見つける場合もあり、そんなときは店長やストアマネージャーを呼び出して、お小言だ。