実は「最も成績が良い層」はAO・推薦組

大学入試において「学力の3要素」が重視されている背景には、従来の「詰め込み型」では対応できなくなった時代の変化がある。

「『偏差値の高い大学に入り、大企業に入る』というのが高度成長期日本の成功モデルでしたが、都市銀行の統合が進み、大手メーカーも海外企業に買収されるなど、随分と変わってきました。また、2017年に生まれた子どもは107歳まで生きると言われており、学ぶ時期、働く時期、老後の区分も変化しています。そこでは、詰め込み型ではなく、自分で学ぶ力をつけなければならないのです」(小林氏)

また、AO・推薦入学者の学力については、こんな話もある。早稲田大学広報課によると、各入試での入学者数や学部による違いはあるものの、「入試形態別で入学者のGPAを調査すると、本学の学部全体で最も成績が良い層はAO型入試・指定校推薦入試で入学した学生である」という。同大学におけるAO・推薦入試入学者が、一定の学力を持っていることを示す一例といえる。

「受験勉強ができる」も個性のひとつに

入試方法の多様化が進んだ場合には、高校時代の経験や積み重ねの影響が大きくなりそうだ。「通っていた高校によって差が出るのではないか」という問いに、小林氏はこう答える。

「それはあると思います。ただ、私立の一貫校が良いという意味ではありません。受験に強い一貫校の中には、前倒しで授業を進めて最後の1年間を受験対策に使う学校もありますが、それでは太刀打ちできません。高校時代までの経験価値が大切になるのです。高校による評価の仕組みも変わり、評定平均だけではなく、部活動やボランティア、留学などの日々の活動も調査書で見られるようになります」(小林氏)

「学力の3要素」の育成と親和性がある高校の例としては、探究型の学習を行っているSSH(スーパーサイエンスハイスクール)やSGH(スーパーグローバルハイスクール)が挙げられる。SSHは将来の国際的な科学技術関係人材を、SGHはグローバルリーダーを育成するとして、文部科学省の指定を受けている高校だ。これらは、地方の公立校にも増えてきているという。

「受験勉強ができるのも個性です。一般入試にしろ、AO・推薦入試にしろ、選抜性が高い大学には自分なりの個性を持っていかなければならなくなるでしょう」と小林氏。入試方法は多様化しているが、それは求めるレベルが下がることを意味するわけではない。各大学が自らの個性に合う学生を入学させるため、入試の選択肢を増やしているということだ。早慶でのAO・推薦の割合増加も、その変化の一つといえるだろう。