2017年8月、KDDIが創業3年のベンチャー企業の買収を発表した。金額は推定約200億円。10年以降のIT系企業の買収では最大といわれる。「IoTで世界のプラットフォーマーになる」と豪語する社長の描く未来とは――。
ジャーナリストの田原総一朗氏とソラコム社長の玉川 憲氏

配管工の父とブルーウォッシュ

【田原】玉川さんは大阪のご出身ですね。どんなお子さんだったんですか。

【玉川】大阪の東大阪という町工場の多い地域で育ちました。父親が配管工だったせいか、私も手を動かすことが好きで、時計を分解したりラジコンをつくって遊んでいました。

【田原】大学は東京大学の機械情報工学科。これはどういう学科ですか。

【玉川】機械系で、メカトロニクスといって機械とコンピュータのあいだぐらいの学科です。そのまま東大の大学院に進んで、バーチャルリアリティの研究をしていました。

【田原】卒業後は日本IBMの基礎研究所にお入りになった。

【玉川】研究生活が好きなんです。私は誰もいないところで黙々と論文を書いたりプログラムをつくっていると、恵まれた時間だと感じるタイプ。当時、IBMの基礎研究所は世界最高峰のコンピュータの研究をやっていたので、入社を決めました。