やるべきことはわかっているのに、どうしてもやる気が出てこない……。誰しも経験することだろう。やる気をコントロールするために我々にできること、それは案外簡単なことだった──。
<strong>河野臨床医学研究所理事長 築山 節</strong>●1950年、愛知県生まれ。82年日本大学大学院医学研究科修了。同大助手などを経て、89年河野臨床医学研究所附属第三北品川病院の脳神経外科部長に転じる。2003年より現職。著書に『脳が冴える15の習慣』『脳と気持ちの整理術』など。今年4月には『脳から変えるダメな自分』を上梓する。
河野臨床医学研究所理事長 築山 節●1950年、愛知県生まれ。82年日本大学大学院医学研究科修了。同大助手などを経て、89年河野臨床医学研究所附属第三北品川病院の脳神経外科部長に転じる。2003年より現職。著書に『脳が冴える15の習慣』『脳と気持ちの整理術』など。今年4月には『脳から変えるダメな自分』を上梓する。

いくら効果的な勉強法を学んだとしても、継続して実践しないことにはスキルアップは実現しない。そこで重要となるのは、自己成長の源泉ともいえる“やる気”を育てることだ。人間はモチベーションなくして前に進むことはできないし、やる気が湧くからこそ獲得した知識を活かし、仕事や生活に役立てようとする。

しかしながら厄介なのは、やる気はメンタリティに大きく左右されるということ。気分が沈めばやる気は出ないし、反対に気が張っていれば、無尽蔵のごとく湧いてくる。意識的にコントロールできればとは、誰もが考えることだ。

「脳に刺激を与えることでやる気を高めることは可能」とアドバイスするのは、医学博士の築山節氏。脳神経外科の専門医として数多くの診断治療に携わってきた、脳の分野におけるスペシャリストだ。

「アスリートが競技の前にウオーミングアップするように、脳も回転数を上げるための準備運動を行えば、やる気は高まっていきます。そのために効果的なのが、しゃべる、歩く、手を使うといった単純で大雑把な行為なのです」

口や足、手を動かすというのは、脳の運動系と呼ばれる機能を使うこと。やる気と運動がなぜリンクするのか不思議に思うが、両者は密接に繋がっている。

「人間の脳は、思考系が独立して存在しているわけではありません。赤ん坊が人間らしい高度な思考を獲得していく過程からもわかるとおり、二足歩行ができるようになり、手足を自由に操れるようになり、口を使い言葉を話せるようになってはじめて、高度な思考力も発達していきます。日常生活も同じで、運動系を十分に動かしておくことが、思考やモチベーションの活性化に有効なのです」