こうした利点を生かせる海外の投資先として、小池氏がすすめるのが香港だ。いまやニューヨーク、ロンドンと並ぶ世界三大金融市場の1つで、日本から飛行機で約4時間という地の利もある。円と違って香港ドルは米ドルに連動し、海外で発売されるバリエーション豊かな金融商品を購入しやすい。

「たとえば、米国のETF(上場投資信託)にはユニークなものも多い。国防施設関連の会社ばかりを集めたものや、シェールガス関連会社だけを集めたものなど、多種多様な投資ニーズに対応できます」

ただし、香港に銀行口座を開設するには、現地に行く必要があり、やり取りは原則英語。言葉に自信のない人にはハードルが高い。そこでおすすめなのが、15年に開業した日本ウエルネス香港銀行である。新生銀行やマネックスグループが出資するBVI法人OJBC CO.Ltdの100%子会社で、口座開設から運用まで、すべて日本語でOKだ。

プライベートバンクで年5%の利回りを確保

もっとも、「数ある金融商品のなかから自分で選ぶのはちょっと」という富裕層も少なくない。そこでスイスのプライベートバンク(PB)の活用を推奨するのが、T&T FPコンサルティングの高島一夫社長である。

PBとは文字通り「個人のための銀行」。スイスはPB発祥の地で、300年の歴史がある。また、スイスのPBは規模が小さく、大手でもスタッフは1000人ほど。すべての顧客に専任の担当者がつき、顧客の希望に応じて資産管理やアドバイスを行う。

高島氏はPBと日本の顧客をつなぐエクスターナル・マネジャーで、「顧客の中心は、医師や弁護士、会社経営者、上場企業の元役員など、金融資産額1億~5億円の方たちです。この1~2年、PBに資産運用を任せたいという相談が増えています」と語る。

PBには世界トップクラスのアナリストが在籍する。彼らは世界中の金融商品の分析を行い、最良のものを選択する。実は、PBには基本的に自社の金融商品が存在しない。「つまり、運用成績の悪いファンドは自由に入れ替えができ、それがPBの強みなのです。証券会社などは自社商品のシバリがあって、顧客本位のポートフォリオが組みにくいのです」と高島氏はいう。

PBは顧客の資産を着実に増やしながら管理するのが基本スタンス。リーマン・ショックの際もPBは被害が軽微で済んだという。もっとも顧客のメーンの運用資産を分離勘定口座で管理しており、万が一PBが経営破綻しても、預けた資産は基本的に守られる。