補修・修理に製造者がどこまで責任を持つか
ソニーが12年ぶりにイヌ型のペットロボット「aibo(アイボ)」を復活させた。今年11月に初回分の予約を開始したが30分ほどで完売。発売は来年1月の予定だ。商品発表の記者会見には平井一夫社長も登壇した。最近のソニーの新製品発表会で、トップ自らが登壇することは珍しい。それだけアイボ復活にかける思いは強いということだろう。
アイボの復活を、多くのメディアは好意的に捉えたようだ。とくに発表当日と翌日のニュース番組ではテレビ各局が競うようにその愛くるしい動作を画面一杯に映し出していた。
先代のAIBO(ソニーは新しいアイボを「aibo」と小文字、先代は「AIBO」と大文字でつづっている)は1999年に発売され、2006年に生産終了になるまで合計で6モデルが世に送りだされた。累計の生産台数は15万台(全世界合計)という。
新しいaiboの性能・機能は飛躍的に向上した。最大の進化は、クラウド経由で他のaiboが習熟した内容を共有し、ペットとして日々進化するという点だ。
それでは、新しいaiboは、果たしてソニーの“ブランド価値”を上げる製品になるのだろうか。もちろんそうなればいいとは思う半面、そこにはこの種の製品に特有の危うさも感じる。
その危うさとは、製品の補修・維持に製造者がどこまで責任を持って関わるのか、という問題だ。補修サービスはユーザーから「100点満点」をもらうのがきわめて困難なテーマである。これはもちろんaiboに限ったことではない。しかし、先代のAIBOが、他のエレクトロニクス製品とは異なる性質の問題を提起してきた事実を考えると、今回のaiboがその問題にどう取り組むのかはどうしても気になる。
新しいaiboの発表会で、開発担当の川西泉氏(AIロボティクスビジネスグループ長)は、2014年に修理サービスの打ち切りを宣言した先代のAIBOについて、「修理サービスの復活はない」と断言した。
この発言の対象がAIBOではなく、テレビやゲーム機、カメラといった製品であれば、抵抗なく素直に聞き流せたことだろう。しかし、aiboはそうした製品とは異なる。先代のAIBOのユーザーは、ほかの電気製品とは違った所有の仕方、より人間的な接し方をしているのだ。